「師匠はつらいよ」讃

九月十三日第六期叡王戦五番勝負の第五局で藤井聡太二冠が豊島将之叡王を破り、対戦成績三勝二敗でタイトルを奪取した。これにより藤井新叡王は王位・棋聖と合わせ三冠となった。 将棋は駒の動かし方しか知らないわたしだが、弟子の活躍から師匠を知り、いま…

新コロ漫筆〜「御役人は隙になくては不叶事也」

九月三日、菅首相が自民党総裁選の不出馬と首相退任を表明した。これをうけて小泉進次郎環境大臣が、感謝のほかなくこれほど仕事をした内閣もないと涙を流しておっしゃっていた。感謝は個人的なものだからともかく、これほど仕事をしたというのには首をかし…

「孤狼の血 LEVEL2」

前作「孤狼の血」は広島県の架空都市である呉原市でやくざの抗争を収束し、秩序を回復しようとして裏社会に深く食い込んだ刑事の物語でした。 刑事は対立する二つの暴力集団の調停を図ろうとしますが、警察内部の陰謀もあって上手くゆかず、組同士の攻防に巻…

新コロ漫筆~「地獄を作るな」

「天堂を願はんより地獄を作るな」 太田南畝『半日閑話』に引かれてあったある方の家訓で、天堂は天上界、極楽浄土を意味している。 菅首相は東京オリンピック・パラリンピックを開催して成功させ、衆議院議員選挙の勝利と自身の自民党総裁再選を果たし、首…

新コロ漫筆~On Liberty

さきごろ国民民主党、立憲民主党がそれぞれ連合と締結した政策協定のなかに「左右の全体主義を排し」との文言があり、これについて国民民主党の玉木雄一郎代表が「共産主義、共産党のことだ」と発言したところ、日本共産党がこれに反発し、小池晃書記局長が…

「モロッコ、彼女たちの朝」

日本ではじめて公開されるモロッコ発の長編劇映画と聞いてさっそく駆けつけました。 あのリックとイルザの物語はすべてセットで撮影されていますが、舞台となったカサブランカがわたしにとって映画の聖地であることに変わりはありません。それに二0一四年に…

「カサブランカ」はじめての吹替版

七月一日。一回目のワクチンを接種した。あらかじめ配布された問診票の項目に、質問がある方はチェックをしておくようにとあったからチェックを入れたところ、接種をまえに医師が、質問があるんですね、というので、今晩は晩酌してよろしいでしょうかと訊く…

「読み飛ばし」についての考察

八月六日、菅義偉首相は広島の原爆死没者慰霊式・平和祈念式でのあいさつで 広島市を「ひろまし」、原爆を「げんぱつ」といいまちがえたうえに「読み飛ばし」であいさつの一部を意味不明にしてしまった。 同日夜、わたしは犯罪組織を検挙するためフライドチ…

「返校 言葉の消えた日」

二0一七年に発売され台湾で大ヒットしたホラーゲーム「返校」を実写映画化した作品だそうですが、わたしはその種のゲームとはまったく無縁ですので、とりあえずリアリズムで物語を整理してみます。 国民党独裁のもと、戒厳令が敷かれ、白色テロが横行してい…

新コロ漫筆~二回目の接種のあとに

七月二十二日に新型コロナウイルス予防の二回目の接種(ファイザー)をしてシリーズを終えた。テレビではわたしと同世代とおぼしき高齢者が、接種を終えてこれでひと安心とか、肩の荷が下りましたと笑顔でおっしゃっていた。 自分もあんなにハッピーになれた…

指ヶ谷町で

『荷風全集』を読みながら荷風ゆかりの地や小説の舞台となったところを散歩している。この試みは今回が二度目で、さいしょは一九九七年から九八年にかけてだった。それまでわたしはほとんどカメラに縁がなく、使い捨てカメラを買っては目的地へと向かってい…

新型パソコン学習記

とくに用事のない日の午後は喫茶店で座っていたのに昨年の緊急事態宣言を機に自室で音楽を聴きながら、自分で淹れた珈琲を飲むようになった。きょう聴いたジュディ・ガーランド「Afternoon Tunes」は「ダニーボーイ」や「君去りし後」などのスタンダードナン…

「一秒先の彼女」

爽やかで心暖まる台湾発のロマンティック・コメディです。 映画館では彼女が笑った一秒あとにほかのお客さんが笑いだす。写真を撮るときのチーズ!も一瞬彼女が早くてみんなとテンポが合わない。小さい頃からちょっぴりズレていたシャオチー(リー・ペイユー…

新コロ漫筆〜副反応について

七月一日に一回目のワクチン接種をした。二回目は二十二日に予定されている。 無事に終わった一回目だが、じつは副反応が気になって何回か腰が引け、当日はニュースで早くワクチンを接種できてよかったとよろこんでおられた方々とは対照的に不安な気持で接種…

2019旅順、大連、錦州(其ノ三)

大連に路面電車が走ったのは一九0九年。営業主体は満鉄が全額出資し分社化した純粋子会社で、実質的に満鉄の軌道、バス部門を担っていた。 日本の敗戦により管轄は大連市交通公司に移行し、一部の路線はトロリーバスへの転換や廃止となったが、いまも大連市…

2019旅順、大連、錦州(其ノ二)

東鶏冠山北堡塁は帝政ロシアが日本軍の攻撃を防御するため東鶏冠山に建設した堡塁で、日露戦争の激戦地のひとつとなった。日本軍はこの堡塁を奪い、突破するために一九0四年の八月から十二月にかけておよそ四か月を要し、死者は八千人に及んだ。壁面の銃弾…

2019旅順、大連、錦州(其ノ一)

二0一九年六月十四日、成田空港から大連へ向かった。所要時間三時間余り。一九七六年三月にはじめて訪れて以来中国へは何度か来ているが東北地方は今回がはじめてだ。 大連市は日中関係の要衝となった都市で、南満洲鉄道株式会社(満鉄)の本社や関東軍の司…

新コロ漫筆~「客子暴言」を読む

永井荷風に「客子暴言」という随筆がある。 初出は大正五年(一九一六年)七月一日「文明」、いま『荷風全集』第十二巻(岩波書店新版)に収められていて、四頁ほどの短文ながら、このころの性風俗を俯瞰するのに有益また貴重な一文であり、また新型コロナ禍…

「逃げた女」

女は結婚して五年、そのかん一度も離れたことのなかった夫がはじめて出張となり、彼女はソウル郊外にいる女ともだちを訪ねます。面倒見のよかった先輩は離婚していまは親しい女性といっしょに生活してい、もう一人の先輩は高収入で気楽な独身生活を楽しんで…

ワクチン接種一回目予約完了

「さつきの頃、家々にのぼりたつるをみて によきによきとたてる幟の子だからはげに家々の御珍宝かな」大田南畝。 五月はかくありたいものだが、いまはオリンピックパラリンピックと新型コロナ感染症が合体し「によきによき」と不気味に迫ってきている感じが…

「HOKUSAI」

緊急事態宣言で営業を休止していた東京の映画館が制限つきながら六月一日から再開し、久しぶりに劇場で映画をみました。 「HOKUSAI」は葛飾北斎(1760-1849)の人生の四つのシーンを章立てとした、小説でいえば短篇連作の映画です。青壮年期を柳楽優弥、老年…

「デンジャラス・ライ」

緊急事態宣言のなか、つれづれなるままに「デンジャラス・ライ」(Netflix)という聞いたことのない(もちろん見たこともね)映画をみました。デンゼル・ワシントンの「デンジャラス・ラン」じゃないですよ、念のため。 チョイスしたのは、貧困にあえぐ介護…

新コロ漫筆~もう一度、勇気、希望、絆

東京オリンピックパラリンピック開催の意義について菅首相は「世界最大の平和の祭典であり、国民に勇気と希望を与える」、丸川珠代オリンピックパラリンピック担当大臣は「コロナ禍で分断された人々の間に絆を取り戻す大きな意義がある」と語った。 オリパラ…

永井荷風がマラソンについて語っていた!

四月十三日。東京電力福島第1原発で増え続ける処理水の処分に関し、政府は海洋放出の方針を正式決定した。二年後をめどに、残留する放射性物質トリチウムは濃度が国の基準の40分の1未満になるよう薄めて放出に着手する。無知な文系人間は疑問に思う、ニュー…

新コロ漫筆~勇気、希望、絆

東京オリンピック1964のときは中学三年生だった。日紡貝塚大松監督と東洋の魔女、体操個人女子総合金メダリストのチャスラフスカ、マラソンのアベベ、円谷たちの姿はその気になればいまでも瞼に浮ぶ。教室では先生が「ソ連の重量挙げの選手たちは食パンとお…

新コロ漫筆〜池江璃花子選手のこと

五月十一日までだった緊急事態宣言が月末まで延長されることとなった。 すると五月十七日に予定されていたIOCバッハ会長の日本訪問が緊急事態宣言の延長を受けて延期されるとの報道があった。なんだか今回の緊急事態宣言の日切をとりあえず五月十一日とした…

アンクレット

新型コロナ感染症禍のなか、東京在住の高齢者はおのずと自宅で映画、TVドラマをみることが多くなり、先日もNHKBSPで放送のあった「深夜の告白」を鑑賞したことでした。 ビリー・ワイルダー監督とシナリオ担当のレイモンド・チャンドラーが組んだノワール好き…

新コロ漫筆〜狂歌をよむ

永井荷風が大田南畝について書いた随筆や論稿を読んでいるうち、荷風経由ではなく直截南畝を読んでみたくなり、 いま『大田南畝全集』の狂歌の巻を読んでいる。素人なので自己流の解釈は避けられず、それに気がかりな新型コロナウイルスに引きつけて読んだり…

『大田南畝全集』

東日本大震災直後の三月末を以て定年退職したから、この四月から十一年目の年金生活に入った。わたしは六十歳定年だったが、このかん六十五歳定年が普及し、今年度からは労働者が希望すれば七十歳まで働くことができる「高年齢者雇用安定法」の改正法が施行…

新コロ漫筆〜オリパラの夢

三代目桂三木助が得意とした噺のひとつに「三井の大黒」があった。 左甚五郎に大黒様を彫ってもらった三井家の使いが、「まえには阿波の雲慶先生に恵比寿様を彫っていただき、『商いは濡れ手であわのひとつかみ』という句をいただきました。つきましては先生…