2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『キャッチ・アンド・キル』~ #Me Tooの起爆となったノンフィクション

ローナン・ファロー『キャッチ・アンド・キル』(関美和訳、文藝春秋)は映画プロダクション「ミラマックス」の設立者で、数多くの名作を手がけてきたハーヴェイ・ワインスタイン(わたしの大好きな「パルプ・フィクション」や「シカゴ」もこの男のプロデュ…

ロシアを憎む

ロナルド・レーガン大統領がソ連を公然と「悪の帝国」と断じたのを思えば現職のアメリカ大統領はいささか迫力に欠ける。 失礼ながらバイデン大統領を優れた政治家とは評価しない。就任早々、アフガニスタンからの自国民の引き上げや現地協力者の脱出で大チョ…

フランス的ケチ 再論

フランスでは金利で生活する人をランチエ、退職年金で生活する人をルトレテと呼ぶ。つまり仕事をしないで老後の生活を送る人びとを、生活費の出どころによって分類している。老後の生活への細やかな視線とフランス人の隠居ごのみをうかがわせる言葉である。 …

手芸と料理のじょうずな力士

Amazon Prime Video魅惑のモロクロラインナップで「死の十字路」(一九五六年日活)を鑑賞した。原作は江戸川乱歩、この作者がこのようなスリラー作品を書いているのを知らず、ほかにおなじ系統のものがあれば併せて読んでみたいと思った。 夫は商事会社の社…

「魅せられて」

エリザベス二世が、九月八日スコットランド、バルモラル城で崩御され、十九日ウィンザー城内の聖ジョージ礼拝堂に埋葬された。 一九五二年二月六日の就位から二0二二年九月八日までの在位七十年を辿ってみたいと思っていたところ、誌名は忘れたがある週刊誌…

「デリシュ!」

デリシュ、フランス語でおいしいを意味することばです。 フランス革命がすぐそこまで迫っていた時代、料理人が作る料理は王侯貴族の味わうものであって、民衆とはまったく無縁、そもそも庶民は味覚の能力を欠いているとされていました。シェフによる料理は選…