2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「仕まり」の感覚

テレビのコマーシャルに刺激されてものを買ったおぼえがない。もちろん陰に陽に影響は受けているのだが、すくなくともコマーシャルで、よし、こんどはこの珈琲だとか、あのビールにしようなんて思ったことはない。いくら役者、タレントさんが「ちがいのわか…

金瓜石(2015初夏台湾 其ノ十四)

金瓜石はかつて東北アジア第一の金鉱と呼ばれ、たいへん栄えたところ。日本、中華民国問わず最重要のドル箱の地で、最盛期は日本統治時代の一九三0年代半ばで、住民一万五千人を数え、日本人、台湾人、大陸からやって来た出稼ぎ労働者が金銀銅の採掘に従事…

元宵観燈(2015初夏台湾 其ノ十三)

十份では毎年元宵節に「平溪國際天燈節」という国際的なランタンフェスティバルが催されている。大陸のほうでもこの時期、天燈(ランタン)は華やかに飾られているだろうが、こうしたフェスティバルが挙行されているといった話は聞かない。 元宵節と天燈の歴…

十份(2015初夏台湾 其ノ十二)

台北のホテルから一時間ほどバスに乗り十份へとやって来た。台湾新北市平渓区にあるこの地は昔の台湾のたたずまいを感じさせる山あいの町で、ガイドブックには「台湾のナイアガラ」の異名をもつ十份瀑布という有名な滝のある観光地とあるが時間の関係で滝へ…

粕谷一希『戦後思潮』を読む

ことしの憲法記念日に安倍首相は自民党総裁として改憲派の集会にビデオメッセージを寄せ、憲法を改正し二0二0年に施行をめざす意向を表明し、改正項目のひとつとして憲法九条を挙げ「一項、二項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な…

忠烈祠で(2015初夏台湾 其ノ十一)

辛亥革命で清朝を倒し、中華民国臨時大総統となった孫文は台湾では国家の父「国父」と呼ばれている。中華人民共和国でもその評価は高く、将来、大陸と台湾がひとつになったときは孫文が新国家を代表する人物となるかもしれない。 半藤一利『歴史のくずかご』…

「プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード」

プラハ市立フィルハーモニー管弦楽団の演奏する「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」が流れるなか、先日ハリウッドを追放されたセクハラ大物プロデューサーを思わせる悪辣富豪のサロカ男爵(ジェームズ・ピュアホイ)と、美貌と才能を具えた歌手スザ…

国民革命忠烈祠(2015初夏台湾 其ノ十)

台北市中山区剣潭山にある国民革命忠烈祠。一九六九年、日本統治時代に台湾護国神社があった場所に創建された。辛亥革命や中華民国の建国発展に尽くして犠牲となった烈士や日中戦争などにおいて戦没した英霊を祀る祠で、一般には忠烈祠として知られている。…

小津とチェーホフ

海外に出たときは気分を変えてこれまでご縁のなかった人の著作に接してみようと、十月にトルコを旅しているあいだチェーホフを読んだ。名前だけ知る人だが、開高健がえらく推奨していて気にはなっていた。 まずは中原俊監督「櫻の園」からの連想で『桜の園・…

ブルガリアの喫茶店の片隅で

十一月二十九日から十二月六日にかけてルーマニアとブルガリアを旅した。ともにはじめての地だ。 成田空港からイスタンブール経由でルーマニアの首都ブカレストへ。この国ではブカレスト、ブラショフ、プレジュメール、シギショアラ、ブランを訪れ、ついでバ…