2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「暖流」

北条秀司の戯曲「王将」が伊藤大輔監督ではじめて映画化されたときの坂田三吉役はバンツマこと阪東妻三郎だった。三吉を、困窮にあえぎながらも、将棋やるんなら日本一の将棋指しになんなはれと支え励ました女房の小春は水戸光子が演じた。 彼女は溝口健二監…

ラジオ・デイズ

ラジオ・デイズは甘く、切なく、なつかしい日々である。疑う人はウディ・アレンの同名の映画を見よ! なんて気張る必要はさらさらないのだが、誰か故郷を思わざる、幼い頃のあの夢この夢にはつい力が入ってしまうのだった。 六十年安保の国会議事堂を取り巻…

ローマとパリで映画をおもう(其ノ四)

ルーブル美術館前にあるジャンヌ・ダーク像。イングリッド・バーグマンが熱望して演じたジャンヌ・ダークですが映画は未見。機会がなかったということもありますが、なんとかしてビデオを探してみようというほどには食指が動かないんです。 それよりも「カサ…

ローマとパリで映画をおもう(其ノ三)

ヘンリー・ミラーのパリ時代を描いた「ヘンリー&ジューン 私が愛した男と女」という映画があります。ミラーの作品を意識したのか、むやみなセックスシーンは興ざめですが、それでもDVDが手許にあるのは、三十年代のパリの雰囲気とリュシエンヌ・ボワイエ「…

ローマとパリで映画をおもう(其ノ二)

ヴァチカン美術館のキリスト教美術に圧倒されながら、つづいてサンピエトロ寺院と広場へ。 □ 参拝客にわたしのような物見遊山がくわわり、平日でもなかなかの人出なのですから、特別な日となるとたいへんで、二00五年四月二日ヨハネ・パウロ二世が亡くなっ…

ローマとパリで映画をおもう(其ノ一)

はじめての海外旅行は一九七六年三月、周恩来総理死去直後の中国でした。大学で中国語を習っていたので、若い頃は中国旅行しか念頭になく、その後、公私含めて中国、韓国、香港、マカオ、ニュージーランドと経験しましたが、欧米への旅行はこの歳までなく、…