2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧
二0一五年のイングリッド・バーグマン生誕百周年を記念したドキュメンタリー作品「イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優」を観て、その夜、バーグマンとアラン・バージェスによる『イングリッド・バーグマン マイ・ストーリー』を手にした。一九八0年…
はじめてスペインを舞台とした映画を観たのはチャールトン・ヘストンとソフィア・ローレンが出演した「エル・シド」だったとおもう。スペイン映画ではなく、アメリカとイタリアの合作で、監督は「ウィンチェスター’73」や「グレン・ミラー物語」を撮ったアン…
マット・デイモンのボーンがスクリーンに帰ってきた。監督は「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」とおなじ、そしてマット・デイモンがこの人なしに続篇はありえないと語っていたポール・グリーングラスだ。 手持ちキャメラを駆使した臨場感…
エル・シド(本名ロドリーゴ・ディアス・デ・バビール)は十一世紀後半のレコンキスタで活躍したカスティーリヤ王国の貴族で、スペイン語読みに近い表記ではエル・シッドとなる。 カスティーリヤ王国アルフォンソ六世治世下にあってエル・シドは二回もしくは…
『山猫』のドン・カロージェロはドン・ファブリーツィオ公爵家が所有する大農地の管理人を務めているが、その経済力は主家を凌ぐほどに強く、また「お館さま」の土地を含むドンナフガータ村の村長でもある。その娘アンジェリカが公爵の甥タンクレーディと結…
セビリアの旧ユダヤ人地区サンタクルス街は二十世紀のはじめに再建されたものだが、かつての面影は色濃く残っているとのことだ。 ユダヤ人は徴税を請け負ったり、金貸しの仕事をしていたために住民の恨みを買いやすく、しばしば暴徒の襲撃を受けた。かれらを…
ことしのはじめシチリア島を含む南イタリアを旅したのを機に長年書架で眠っていたジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサの名作『山猫』(小林惺訳、岩波文庫)を手にした。 イタリア統一戦争を背景に、シチリアの名門貴族サリーナ公爵家の有為転変の軌…
セビリアの大聖堂、宮殿、博覧会の会場といった大がかりなところをめぐったあとは石畳の路地の入り組んだ旧市街のサンタクルス街へ。もとのユダヤ人地区で迷路のようなたたずまいだ。 わたしたちが訪れたのはさわやかな空気に包まれ、やわらかな陽が射す午後…
二00九年一月十五日、USエアウェイズ、ニューヨーク・ラガーディア空港発シアトル行き1549便が離陸直後に鳥の大群の衝突を受け全エンジン停止という危機に見舞われた。管制官は近くの空港に引き返すよう指示をしたが、それを不可能と判断した機長はハドソ…
かつての北ベトナムをすこしばかり観光してきた。羽田〜ハノイ〜バッチャン村〜ハロン湾〜タンロン〜ハノイ〜羽田というのがその旅程。観光というよりもかねてよりベトナム戦争の地を一度訪ねてみたい気持があり、ようやく願いが叶ったしだいだ。戦争の地と…