2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「比翼床」

星新一に、明治の世相や風俗、ゴシップなどを新聞記事に探り、集め、時代の流れを追った『夜明けあと』(新潮文庫)という編年史の著作がある。 父星一の生涯を描いた『明治・父・アメリカ』『人民は弱し官吏は強し』また母方の祖父で解剖学者、人類学者とし…

寺田寅彦『漱石先生』

寺田寅彦が熊本の第五高等学校に入学したのは一八九六年(明治二十九年)九月、おなじ年の四月に漱石は英語教師として着任していた。 昨年七月に中公文庫の一冊として刊行された寺田寅彦『漱石先生』は、漱石とのつきあい、その素顔、作品、また正岡子規をは…

川の流れ

昨年、「カサブランカ」のシナリオを読み、感じたり気になったりしたこことを四回にわたり本ブログに書きとめた。その二回目「「カサブランカ」のシナリオから(二)~《A lot of water under the bridge.》」(2023/6/5)では、ナチスの侵攻をまえにパリで…

「笑いのカイブツ」

ことしはじめて映画館で観た「笑いのカイブツ」。2024初スクリーンでこの作品に出会えたのが嬉しく、また大いに刺激を受けました。 原作のツチヤタカユキ氏はこれまで知らない名前でしたが、この映画でさっそく原作を読んでみようという気になりました。わた…

『猫』とフィルム・ノワール

十二月三日。昨日スマホの機種変更をした。iPadやKindleなどと充電の端子を一本化したのはよかったが、旧機種からデータを移行しなければならず、手引の小冊子をいただいたが緊張感ただならず、心配した通りきょうの日曜日は午後のラグビー早明戦の時間帯を…

三代目柳家小さん 讃

パレスチナのガザ地区を支配するハマスがイスラエルを奇襲攻撃したのは先月十月七日だったからまもなくひと月になる。ミサイルをイスラエルにぶち込んだ。それにはこれまでの経緯があり、空は見えても牢獄状態にあるガザ地区のいまがあってのことだろう。 そ…

お年賀

あけましておめでとうございます 本年もよろしくお願い申し上げます 二0二四年一月一日 退職して十余年、いちばん大きな変化はお酒がむやみに好きになったことで、これはまったく想定外の事態でした。暇と退屈と仲良くしているうち口腹のたのしみの度合が増…