2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「勝者は、真実を語っていたかどうかをあとで問われることはない」

四月十一日の国会審議で希望の党の代表玉木雄一郎氏は質疑中に首相秘書官が「違うよ」などの不規則発言を行ったとして「秘書官がやじを飛ばすな」とたしなめた。このあと記者団に「犬は飼い主に似るという言葉がある。首相の傲慢な姿勢が隅々まで行き届いて…

プラハ城のバルコニー

プラハは中学生のときから気がかりな都市だった。 中学三年生のとき東京オリンピックの女子体操金メダリスト、チェコスロバキア代表チャスラフスカ選手に心ときめいた。高校二年生のとき「プラハの春」をソ連が弾圧し、あろうことか改革を支持したチャスラフ…

「サバービコン 仮面を被った街」

一九五0年代、アメリカンドリームを絵に描いたような街サバービコンに暮らすロッジ家に、ある日強盗が押し入り、これをきっかけに一家の生活は大きく変わる。ときをおなじくしてこれまで皆無だった黒人の家族が引っ越してきて、かれらを追放しようとする機…

「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」

一九九一年全米フィギュアスケート選手権でトーニャ・ハーディングはアメリカ人としてはじめてトリプルアクセルを成功させた。翌年のアルベールビル五輪では四位に終わったが、選手生活としては順風満帆だった。 それが暗転したのが九四年のリレハンメル五輪…

「タクシー運転手 約束は海を越えて」

一九八0年五月十七日、クーデターで実権を掌握した全斗煥はただちに金大中ら野党指導者を逮捕、これにたいし韓国全羅南道の光州市で学生の抗議デモが起こり、さらに戒厳軍による弾圧の激しさに怒った市民がくわわり、デモは二十万人に及んだ。弾圧により多…

クリムト

『パンツをはいたサル』という本を読んだことがある。とくにパンツとサルに関心が深かったというのではないがおもしろそうな書名なので手にした。一九八一年の刊行だから、わたしが読んだのもおそらくそのころだった。著者は栗本慎一郎、当時「ニュー・アカ…

三度目のソウル

むかし島原に物忘れをよくする遊女がいて一夜を過ぎると前夜のお客の顔さえすっかり忘れてしまう。ところが、あんなに忘れっぽくてもどこか誠がありそうだから、あなただけは忘れないと言ってもらえる男はいるだろう、我こそその男になってみたいとみんなが…