2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧
二0一九年六月十四日、成田空港から大連へ向かった。所要時間三時間余り。一九七六年三月にはじめて訪れて以来中国へは何度か来ているが東北地方は今回がはじめてだ。 大連市は日中関係の要衝となった都市で、南満洲鉄道株式会社(満鉄)の本社や関東軍の司…
永井荷風に「客子暴言」という随筆がある。 初出は大正五年(一九一六年)七月一日「文明」、いま『荷風全集』第十二巻(岩波書店新版)に収められていて、四頁ほどの短文ながら、このころの性風俗を俯瞰するのに有益また貴重な一文であり、また新型コロナ禍…
女は結婚して五年、そのかん一度も離れたことのなかった夫がはじめて出張となり、彼女はソウル郊外にいる女ともだちを訪ねます。面倒見のよかった先輩は離婚していまは親しい女性といっしょに生活してい、もう一人の先輩は高収入で気楽な独身生活を楽しんで…
「さつきの頃、家々にのぼりたつるをみて によきによきとたてる幟の子だからはげに家々の御珍宝かな」大田南畝。 五月はかくありたいものだが、いまはオリンピックパラリンピックと新型コロナ感染症が合体し「によきによき」と不気味に迫ってきている感じが…
緊急事態宣言で営業を休止していた東京の映画館が制限つきながら六月一日から再開し、久しぶりに劇場で映画をみました。 「HOKUSAI」は葛飾北斎(1760-1849)の人生の四つのシーンを章立てとした、小説でいえば短篇連作の映画です。青壮年期を柳楽優弥、老年…
緊急事態宣言のなか、つれづれなるままに「デンジャラス・ライ」(Netflix)という聞いたことのない(もちろん見たこともね)映画をみました。デンゼル・ワシントンの「デンジャラス・ラン」じゃないですよ、念のため。 チョイスしたのは、貧困にあえぐ介護…