2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ベトナム戦争を読む

十一月。上野駅で見た浅草鷲神社のポスターにことしの一の酉は十一日、二の酉は二十三日とあった。酉の市と聞くと読みたくなるのが樋口一葉『たけくらべ』だ。 「此年三の酉まで有りて中一日はつぶれしかど前後の上天気に大鳥神社の賑わひすさまじく、此処を…

第95回新宿―青梅43kmかち歩き大会

十一月十三日、新宿〜青梅間43kmを歩いた。うれしいことに小春日和の一日だった。 この大会は毎年三月と十一月に行われているが、ことしの三月は上海に旅行していて参加できず、そのぶんもここでがんばろうと意欲に燃えていた。いっしょに参加したグループの…

石畳(西班牙と葡萄牙 其ノ四十五)

ドライバーには申しわけないが、車の走行時、石畳は摩擦が大きく、タイヤと石畳が接する音もうるさい。アスファルトにしたほうが経済的、効率的ではあるが、それでは味気なく観光の魅力も減ってしまう。 神楽坂の石畳の小路をときどき散歩するが、あそこがア…

「手紙は憶えている」

朝、目をさました老人が妻の名を呼ぶと中年の女性が「お気の毒ですけど、奥様は先日お亡くなりになられたのですよ。わたしは奥様の介護をした職員で、いまはあなたの担当をしています」と口にする。 老人はアウシュビッツの虐殺を生き延び、渡米して現在は高…

ジラルド広場(西班牙と葡萄牙 其ノ四十四)

松田毅一『天正遣欧使節』は少年使節の史実探求書であるとともに、著者が使節の旅の軌跡をたどった紀行文ともなっている。なかにエヴォラは「博物館都市」の異称があるほど愛すべきところ、「一幅の名画」と譬えたいばかりの街、と書かれている。 エヴォラ大…

「われらが背きし者」

モロッコで休暇中のイギリス人夫婦―大学教授の夫ベリー(ユアン・マクレガー)と弁護士の妻のゲイル(ナオミ・ハリス)―がディマ(ステラン・スカルスガルド)という男と偶然知り合い、かれの自宅でのパーティに呼ばれたことで家族をも知る。二人は知らなか…

エヴォラの神殿(西班牙と葡萄牙 其ノ四十三)

スペイン国境を越えてポルトガルへ入り、バスを降りるとそこはエヴォラだった。ローマ帝国時代からポルトガル南東部アレンテージョ地方の中心地で、コリント様式の神殿の一部が遺っている。 八世紀にムーア人の領土となり、以後十二世紀なかばまでイスラムの…