2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

故郷も故旧も遠くにありて・・・

オンシアター自由劇場による映画「上海バンスキング」がネットにあり、さっそく視聴させていただいた。この芝居と同時代にいられたことはわたしにとって人生の大きなしあわせのひとつである。公開された一九八八年か翌年に池袋の文芸坐地下でみているがソフ…

「ジャズ・ロフト」

第二次世界大戦で戦場カメラマンとして活動したあと、雑誌「LIFE」を中心に意欲的な作品を発表してきた ユージン・スミス(1918-1978)は一九五四年に「LIFE」誌編集部と喧嘩別れをして関係を絶ちました。 三年後の五七年、妻のカーメンと四人の子供たちと別…

「殺人鬼から逃げる夜」

第二次世界大戦前夜のヨーロッパの某国、ある青年が公園でひと休みしてカメラを持ち帰りDPEへ出したところ、フィルムには撮ったおぼえのない軍事関係の写真があり、写真屋は警察に申し出て、他人のカメラとまちがえてしまった青年はスパイの嫌疑がかけられま…

新コロ漫筆~政治と言葉

先日YouTubeで田中均氏(元外務審議官、現在日本総研国際戦略研究所理事長)が、安倍、菅内閣に共通する特質について三つの点を指摘していた。すなわち「説明しない」「説得しない」「責任をとらない」 の3Sである、と。 三つのうち説明と説得は政治と言葉の…

「ブライズ・スピリット〜「夫をシェアしたくはありません!」

名前しか知らないノエル・カワードの、名前も知らない戯曲「陽気な幽霊」(つまりBLITHE SPIRIT)を原作とした映画と説明されてもピンと来なかったのですが、副題に「夫をシェアしたくはありません!」とあり、これでロマンティックコメディというよりも昔ふ…

「アイダよ、何処へ?」

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争のなか一九九五年七月に起こったスレブレニツァの虐殺を再現した本作の再現力はたいへんなもので、わたしはひたすら息をのんでスクリーンを見つめていました。事態を再現するという映画のもつ力が最大限に発揮された作品だと思…