遅船庵筆記

新コロ漫筆〜「御役人は隙になくては不叶事也」

九月三日、菅首相が自民党総裁選の不出馬と首相退任を表明した。これをうけて小泉進次郎環境大臣が、感謝のほかなくこれほど仕事をした内閣もないと涙を流しておっしゃっていた。感謝は個人的なものだからともかく、これほど仕事をしたというのには首をかし…

新コロ漫筆~「地獄を作るな」

「天堂を願はんより地獄を作るな」 太田南畝『半日閑話』に引かれてあったある方の家訓で、天堂は天上界、極楽浄土を意味している。 菅首相は東京オリンピック・パラリンピックを開催して成功させ、衆議院議員選挙の勝利と自身の自民党総裁再選を果たし、首…

新コロ漫筆~On Liberty

さきごろ国民民主党、立憲民主党がそれぞれ連合と締結した政策協定のなかに「左右の全体主義を排し」との文言があり、これについて国民民主党の玉木雄一郎代表が「共産主義、共産党のことだ」と発言したところ、日本共産党がこれに反発し、小池晃書記局長が…

「読み飛ばし」についての考察

八月六日、菅義偉首相は広島の原爆死没者慰霊式・平和祈念式でのあいさつで 広島市を「ひろまし」、原爆を「げんぱつ」といいまちがえたうえに「読み飛ばし」であいさつの一部を意味不明にしてしまった。 同日夜、わたしは犯罪組織を検挙するためフライドチ…

新コロ漫筆~二回目の接種のあとに

七月二十二日に新型コロナウイルス予防の二回目の接種(ファイザー)をしてシリーズを終えた。テレビではわたしと同世代とおぼしき高齢者が、接種を終えてこれでひと安心とか、肩の荷が下りましたと笑顔でおっしゃっていた。 自分もあんなにハッピーになれた…

新コロ漫筆〜副反応について

七月一日に一回目のワクチン接種をした。二回目は二十二日に予定されている。 無事に終わった一回目だが、じつは副反応が気になって何回か腰が引け、当日はニュースで早くワクチンを接種できてよかったとよろこんでおられた方々とは対照的に不安な気持で接種…

新コロ漫筆~「客子暴言」を読む

永井荷風に「客子暴言」という随筆がある。 初出は大正五年(一九一六年)七月一日「文明」、いま『荷風全集』第十二巻(岩波書店新版)に収められていて、四頁ほどの短文ながら、このころの性風俗を俯瞰するのに有益また貴重な一文であり、また新型コロナ禍…

新コロ漫筆~もう一度、勇気、希望、絆

東京オリンピックパラリンピック開催の意義について菅首相は「世界最大の平和の祭典であり、国民に勇気と希望を与える」、丸川珠代オリンピックパラリンピック担当大臣は「コロナ禍で分断された人々の間に絆を取り戻す大きな意義がある」と語った。 オリパラ…

新コロ漫筆~勇気、希望、絆

東京オリンピック1964のときは中学三年生だった。日紡貝塚大松監督と東洋の魔女、体操個人女子総合金メダリストのチャスラフスカ、マラソンのアベベ、円谷たちの姿はその気になればいまでも瞼に浮ぶ。教室では先生が「ソ連の重量挙げの選手たちは食パンとお…

新コロ漫筆〜池江璃花子選手のこと

五月十一日までだった緊急事態宣言が月末まで延長されることとなった。 すると五月十七日に予定されていたIOCバッハ会長の日本訪問が緊急事態宣言の延長を受けて延期されるとの報道があった。なんだか今回の緊急事態宣言の日切をとりあえず五月十一日とした…

新コロ漫筆〜狂歌をよむ

永井荷風が大田南畝について書いた随筆や論稿を読んでいるうち、荷風経由ではなく直截南畝を読んでみたくなり、 いま『大田南畝全集』の狂歌の巻を読んでいる。素人なので自己流の解釈は避けられず、それに気がかりな新型コロナウイルスに引きつけて読んだり…

新コロ漫筆〜オリパラの夢

三代目桂三木助が得意とした噺のひとつに「三井の大黒」があった。 左甚五郎に大黒様を彫ってもらった三井家の使いが、「まえには阿波の雲慶先生に恵比寿様を彫っていただき、『商いは濡れ手であわのひとつかみ』という句をいただきました。つきましては先生…

新コロ漫筆〜ワクチン異聞

欧米から遅れること二か月、日本でも二月から新型コロナワクチンの接種がはじまった。順番としてまず医師や看護師などの医療従事者、次に高齢者や基礎疾患を有する人、そうしてエッセンシャル・ワーカーと呼ばれる勤労者がつづく。いまこれを書いている四月…

新コロ漫筆〜平平山人のこと

厚生労働省の職員が三月二十四日に銀座で二十三人が参加する大宴会を開いていたことが発覚した。三月二十一日に新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言は解除されたが政府は解除後も大人数での飲食や歓送迎会を控えることを国民に呼び掛けていて、その本丸の…

新コロ漫筆~医者寒からず・・・

江戸時代の医学書の多くは漢文で書かれていたから、医師志望者は漢文の素養を高めるために四書五経など儒学の古典を学んでいて、医学と儒学は隣り合わせていた。 漢文の医学書といっても内容はすべて東洋医学ではなく、なかには漢訳された西洋の医学書が清国…

新コロ漫筆~動けば損

晩唐の詩人李商隠は引越しが大好きで、そのため貧乏を通したと聞く。官僚政治家だったが賄賂とかは取らなかったのだろう。 ことわざに「動けば損」という。男女の仲やマネーゲームにも適用されているがどちらともご縁のない老爺としてはズバリ転居、旅行を戒…

十年目の三一一に小沢信男氏を悼む

元禄十一年(一六九八年)八月、隅田川に長さ百十間(約二百メートル)の大橋が架けられ、永代橋と名付けられた。場所は深川の渡しがあったところでいまの橋よりも百メートルほど上流にあった。 「つく田島つくづく月をながむればかたぶく秋の長きよのはし」…

新コロ漫筆~「行蔵は我に存す」

反共タカ派のニクソン大統領はベトナム戦争に終止符を打ち、中国と国交を結び、消費税反対だった村山富市首相は税率引き上げを認め、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長森喜朗氏はわが国を神の国と讃える超のつく国威発揚論者だが二月三日の日…

新コロ漫筆〜余録

ことし二0二一年一月十八日に召集された通常国会では新型コロナ感染症対策とともに総務省の幹部職員と、利害関係者にあたる東北新社に勤める菅首相の長男たちとの会席が大きな問題となっていて、放送事業の許認可権を持つ総務省にたいし、東北新社側が接待…

新コロ漫筆~「必ずやる」

新型コロナウイルスの第三波が猛威をふるうなか、七月二十三日から予定されている東京オリンピック・パラリンピックの開催をめぐる議論が熱を帯びてきた。世論調査では国民の八割以上が中止もしくは再延期の意向だから風当たりが強くなってきたといってよい…

新コロ漫筆~「お答えを差し控える」

先日のテレビのニュースの一場面、医療提供体制の不備を謝罪する菅首相に「そんな答弁だから言葉が伝わらないんですよ。そんなメッセージだから国民に危機感が伝わらないんですよ」と蓮舫参議院議員が語気を強めたのに対し首相は「少々失礼じゃないでしょう…

新コロ漫筆~会食

一月八日、政府は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県を対象に緊急事態宣言を再発令した。 新型コロナ対策のまずさで各社世論調査での内閣支持率は急落していて、 再発令に追い込まれた感は否めない。菅首相はこんなはずはないと思っているかもしれないが、こ…

新コロ漫筆~感染症につけ入る隙

嫌いなものと問われてすぐに思い浮かぶのは健康診断で、在職中はやむなく法律で定める最低限の健診は受けたものの、胃検診や宿泊付きの詳しい検査には見向きもしなかった。症状がないのに胃にバリウムやカメラを入れられてはたまらない。 自覚症状がない限り…

新コロ漫筆~不要不急

在職中から隠居志向が強く、退職後は受忍できる貧乏であれば甘受して自由な時間を過ごしたいと願っていた。おかげさまで定年退職してからこれまでのおよそ十年を無職渡世一筋、安穏に過ごすことができた。 定年後再就職する人に較べるとわたしのようなタイプ…

マッカーシズムとトランピズム

一九五0年代のアメリカ合衆国はアメリカがいちばんアメリカらしかった時代だったとの見方がある。第二次世界大戦に勝利し、ヨーロッパ、アジアと異なり悲惨な戦場とはならず、戦後は政治、軍事、経済、文化いずれも世界トップの位置を占め、安定と繁栄がも…

断捨離

若いときからずいぶん本を買ったがこの数年で多くを処分した。『斎藤茂吉全集』『久保田万太郎全集』ほか数人の方々の全集、著作集や『千夜一夜物語』『カサノヴァ回想録』など、それに二十世紀文学の金字塔とあこがれ、いつか読破したいと願っていたジェイ…

流言録

昭和十七年の暮れのある日、甲州街道で一台のトラックと荷馬車が衝突し、トラックに積んであった荷物が路上に落ち、なかにあった四個の米俵のうちひとつが破れ白米が散乱した。 通りかかった巡査がそれを見て運転手を尋問したところ運転手は悪びれないどころ…

江戸の百均

『浮世風呂』『浮世床』などの滑稽本で知られる式亭三馬に文化七年から翌八年五月までの日記を兼ねた『式亭雑記』という随筆があり、冒頭に、なんでも三十八文という店のはなしがある。 「去年の歳暮より此春へかけて、三十八文見せといふ商人大いに行はれり…

日本学術会議とベーシックインカム

日本学術会議が推薦した百五名のうち六名の任命を拒否した菅内閣は説明責任を果たさないまま学術会議の改革の問題に論点をずらそうとしているようだ。 学術会議の改革は必要だとしても特定の学者や考え方を狙い撃ちするのは自由主義国家の根幹に関わる問題で…

命なりけり・・・

七月に10キロヴァーチャルマラソンを走りました。緊急事態宣言で中断していた毎月の催しがようやく再開して、この日の走りが宣言からあとわたしのはじめてのレースとなりました。 六時から十二時のあいだに各自が定めたコースをGPS付アプリで計測して送付し…