2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「芝浜」余話

「江戸といいました時分には隅田川で白魚がとれたなんてえことをうかがっております。 広重の江戸百景なんぞみますと、大きな四ツ手網で白魚をとっている景色なんぞがございましたりな。篝火をたいて、四ツ手だとか刺網なんかを乾している江戸名所図絵なんて…

「芝浜」のおかね

映画館での寄席というのはめずらしいが、池袋の新文芸坐では毎月一度落語会が催されている。九月は立川志の輔がトリで、「徂徠豆腐」を演じた。噺家はもとより講談ネタは好みということもあって大満足だった。 この夜、前座のトップバッターは桂三木男が務め…

刺青断章(其ノ三)

小山騰『日本の刺青と英国王室』(藤原書店2010年)という意表を衝くテーマの研究書がある。著者はケンブリッジ大学図書館日本語部長、日本語書籍コレクションの責任者をされている方だ。本書に拠りながら簡単にイギリスの刺青事情を見ておきましょう。 英国…

刺青断章(其ノ二)

ラグビー・ワールドカップ(RWC)を見るかぎり刺青が世界でいちばんさかんなのはポリネシアとおぼしい。規制はもとよりタブー視もないみたいだ。 わが国もかつてはポリネシアとならぶ刺青大国であり、高度な技術を誇っていた。古くは「魏志倭人伝」に「男…

刺青断章(其ノ一)

いまニュージーランドで開催されている第七回ラグビー・ワールドカップ(RWC)の放送を見ていると、二の腕や足に刺青を入れた選手がプレーしているのが映る。 確認できたところで南半球ではニュージーランド、オーストラリア、サモア、トンガ、北半球では…

「キートンのセブンチャンス」

映画『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1946年)の監督テイ・ガーネットは、「映画は走れ(ラン)、走れ、走れにつきる」と言ったそうだ。 映画史上、いちばん走った人といえばやはりバスター・キートンを挙げなければならない。つまり映画の原点、少なくとも…