2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

報道パパラッチの物語

BBC製作のテレビドラマ「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」(映画「裏切りのサーカス」の元版)とその続篇「スマイリーズピープル」がセットになったDVDをゲットした。全篇視聴するには11時間余りかかる。日本語字幕も吹替えもなく、英語字幕を期…

迷路の街・再説(モロッコの旅 其ノ二十九)

映画「望郷」で、ジャン・ギャバンのペペ・ル・モコはアルジェリアのカスバに逃げ込んでいる。フランスの警察官がアルジェの警察署にやって来て、どうして捕まらないかと訊ねるのに対して現地の刑事がカスバについて説明するシーンがある。 「カスバは一種の…

七十年目の敗戦の日に 10 終章〜和解と平和

歴史修正主義という言葉がある。歴史は新しい史料が発見され、あるいは新たな視角から従来の史料の解釈に変更がくわえられるなどすると書き換えられるのが常だから、その意味で絶えず修正を迫られている。だから何をいまさら歴史の修正をこと挙げするのだろ…

ミントティー(モロッコの旅 其ノ二十八)

トルコの人たちはいつでもどこでも一日に何度もチャイを飲んでいる。わたしもトルコでは行く先々でチャイダンルックという特別な二段がさねのポットで淹れるトルコ風紅茶を飲んだ。郷に入り、郷に従ってトルコの旅を体感した。モロッコではミントティーがチ…

七十年目の敗戦の日に 9「日本のいちばん長い日」

昭和史のコンパクトな史料集として重宝している半藤一利編『昭和史探索』の第一巻に一九二八年(昭和三年)六月四日の張作霖爆殺事件の処理の過程で西園寺公望と牧野伸顕とが天皇と皇室のありかたについて見解の相違を生じさせた興味深い議論がある。 はじめ…

「茂禄子」(モロッコの旅 其ノ二十七)

福沢諭吉『世界国盡』はわたしの書架にある本のなかでいちばん早く「茂禄子」(モロッコ)について触れた著作で、その前段でモロッコを含むアフリカについては「北と東の数箇国をのぞきし外は一様に無智混沌の一世界」と記述されている。 福沢は木村摂津守の…

七十年目の敗戦の日に 8 個人的な体験

七十年目の敗戦の日の時点でわたしが懐いている先の大戦についての歴史像を述べて来た。ひょっとすると、人によってはこれも、自虐史観、東京裁判史観、戦後の誤った歴史教育に基づく歴史像となるのかもしれない。 できるだけ歴史のイメージの基となった事実…

『世界国盡』(モロッコの旅 其ノ二十六)

福沢諭吉『世界国盡』は一八六九年(明治二年)に刊行された世界地理の入門書で、その趣旨について「専ら児童婦女子の輩をして世界の形勢を解せしめ、其知識の端緒を開き、以て天下幸福の基を立んとするの微意」にあったと述べている。 福沢は本文を七五調で…