2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「薬の神じゃない」

難病映画は苦手です。死を意識した悲しい物語は避けておくのが無難です。それなのに白血病を扱った「薬の神じゃない」に足を運んだのは傑作「ダラス・バイヤーズクラブ」の中国版と評価する向きがあると小耳に挟んだからにほかなりません。 なお「ダラス・バ…

2019チュニジアの旅(其ノ一)

2月6日、成田空港を発ちドーハ経由でチュニジアの首都チュニスに向かった。 まえまえから旅してみたい国だったが、2015年3月18日バルドー博物館でテロ事件が起きて渡航警戒のレベルが引き上げられた結果パックツアーの多くが取りやめとなった。昨年の夏、た…

七十歳になった

小沼丹「木槿」に「何でもこんな寝苦しい暑い夜のことを、熱帯夜とか云ふのださうである。一體、いつからそんな名前が出来たのか知らない。聞いただけでうんざりする。昔はそんな呼名はなかつたと思ふ」とあった。「群像」昭和五十二年十月号に発表されてい…

日本学術会議とベーシックインカム

日本学術会議が推薦した百五名のうち六名の任命を拒否した菅内閣は説明責任を果たさないまま学術会議の改革の問題に論点をずらそうとしているようだ。 学術会議の改革は必要だとしても特定の学者や考え方を狙い撃ちするのは自由主義国家の根幹に関わる問題で…

「ある画家の数奇な運命」

題名にある「数奇」は、画家志望の青年が恋し、愛し、結婚した女性の父親が、青年の幼いころ可愛がってくれた叔母を心を病む者として隔離し、死に追いやったナチスの高官だったことを指しています。 東ドイツで育ち青年となったクルト(トム・シリング)は社…

「鵞鳥湖の夜」

若いころから身近の大事やむつかしい話には関わりたくない、できるだけ避けたい、というよりも逃げてしまいたい気持の強い人間でした。そのうえこれじゃいけない、現実逃避から抜け出さなければなんて思ってもみませんでした。できれば仕事からも早く逃れた…