2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「マルタの鷹」Tシャツをゲットしたぞ!

令和元年、鷲神社の酉の市は十一月八日が一の酉、同二十日が二の酉にあたる。 渡邊千枝子の句に「一の酉夜空は紺にはなやぎて」があり、紺の空のもと繰り出した大勢のなかには「酉の市に至りも着かず戻りけり」(数藤五城)といった人もいるほどのにぎわいだ…

「家族を想うとき」

イギリス、ニューカッスルに住むターナー家は父母と高校生の息子と小学生の娘の四人家族。 借家状態の不安を解消したい父親リッキーは早くマイホームを購入したいとフランチャイズの宅配ドライバーとして独立を決意し、個人事業主として宅配事業者と契約する…

年末と「第九」

年末の風物詩にベートーヴェン「交響曲第九番(合唱付き)」があり、わたしもこの季節になるとわが家にある唯一の「第九」、一九五一年バイロイト音楽祭でのフルトヴェングラー指揮によるディスクを取り出して聴くことになる。 年の暮れと第九が結びついたの…

警察小説の源流~『彼女たちはみな、若くして死んだ』

ヒラリー・ウォー(1920-2008)はわたしの大好きなミステリー作家で、さきごろも『生まれながらの犠牲者』の新訳本(法村里絵訳、創元推理文庫)を読み、あらためてこの人の作品にはハズレがないなあと感心した。 『生まれながらの犠牲者』は行方不明となっ…

「十二月八日」のあとさき

一九四一年十二月八日からことしで七十八年が経つ。いつだったか、どなたかが、いまの日本の雰囲気を七十八年前の十二月八日のまえに似ていると語っていた。そのときはいくらなんでも心配のし過ぎだろうと思って気に留めなかったが、先日、堀田善衛の自伝小…

旅の終りに(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ六十四)

凱旋門の売店で買い物をして、そのあと再びシャンゼリゼ通りをコンコルド広場に向けて散歩した。 「凱旋門ノ正中ヨリ、『シヤンゼルゼー』ノ広衢ヲスキ、其衝当(ツキアタリ)ニ「チュロリー」宮アリ、宮門ノ前ニ、又一場ノ広区ヲ開ケルヲ、『コンゴルト』ノ…

凱旋門上からの眺め(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ六十三)

サン・ジェルマン・デ・プレからシャンゼリゼ通りへ出た。ルイ・ヴィトンは賑わい、向かい側のキャバレー、リドでは華やかなショー繰り広げられているが時間がなく、シャンゼリゼを散策したあとは凱旋門に上がった。 野上弥生子は『欧米の旅』に、凱旋門上か…

サン・ジェルマン・デ・プレの街角で(オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ六十二)

サン・ジェルマン・デ・プレはサルトル、ボーヴォワール、ジュリエット・グレコ、ゴダール、トリュフォーたちが集ったパリの文化活動の中心地として知られる。その姿は過去のものとなったが、いまもジャーナリストや演劇人の溜まり場となっているカフェはあ…

サン・ジェルマン・デ・プレ教会(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ六十一)

「何世紀も前パリがシテ島の城塞都市で、今日のサン=ジェルマン広場では牛が草を食んでいた頃、シテ島の城塞を最初に出た人人の一部がセーヌ左岸沿いに住みついた」。やがて河岸からすこし南をセーヌ川に平行するユシェット通りには配達車、ペダルを踏んで…

サン・ジェルマン・デ・プレ(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ六十)

サン・ジェルマン・デ・プレ(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ六十) 五十年代末のパリを舞台にした映画「ラウンド・ミッドナイト」はアメリカからやって来た伝説的なジャズ・ミュージシャンとその音楽を愛するフランス人青年との友情を描いた佳篇で…