2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

年賀状雑感

退職を機に特段の事情のある方は別にして、年始のご挨拶は葉書ではなくメールとした。簡単で合理的でまことによろしく、この雑文を書いたあとは来年のお年賀に取りかかる。そして新年ただちにメールを送るとともにこのブログにも載せることとしている。 年賀…

陸 沈

古代ローマの詩人オウィディウスは「よく隠れる者はよく生きる」といったそうだ。 アレキサンドラ・アンドリューズ『匿名作家は二人もいらない』(大谷瑠璃子訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)のなかで匿名のベストセラー作家、モード・ディクソンが、作家になる…

「世界名画劇場」

映画がモノクロだった頃の名作がずらりとならぶAmazon prime videoで久しぶりに「運命の饗宴」を観た。 一着の礼服がさまざまな人の手に渡るなかでいろいろなエピソードが生まれる。シャルル・ボワイエ、リタ・ヘイワース、ヘンリー・フォンダ、ジンジャー・…

生花と造花

十一月早々、オミクロンに対応するワクチン接種の通知が送られて来た。今回で五回目となる。しないわけにはいくまいと日程を見ると、十二月二十四日土曜日、クリスマスイブの午後というけっこうな日に割り振られたものだが、無職渡世の老爺にもそれなりにつ…

市ヶ谷界隈

『つゆのあとさき』は芸者や娼妓をもっぱらに描いてきた永井荷風が対象をカフェーの女給にシフトした作品で、はじめ一九三一年(昭和六年)十月号の「中央公論」に掲載され、同年単行本が刊行された。女給の生態とともに当時の東京の風俗模様やモダンなアイ…

「テイクオーバー」〜意外な拾い物

Netflixで配信されているオランダ製作の「テイクオーバー」は無職渡世の老爺の暇と退屈をしばし忘れさせてくれて、意外な拾い物感がありました。ゲージュツとか深い思索などまったく関係なく、現代のネット社会を素材に、昔ながらの巻き込まれ型のドラマが展…