2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

京極政治学と東芝の粉飾決算問題

京極純一先生の訃報に接してからこのかん、折にふれ『日本の政治』『文明の作法』『現代民主制と政治学』『和風と洋式』『世のため、ひとのため』等のあちらこちらを開いている。あらためて言うことでもないが、先生の個別の問題についての論述は鋭い観察力…

アルフェリア宮殿(西班牙と葡萄牙 其ノ十)

〈千四百七十九年ニ至リ、「カストル」国ノ女王「イサベラ」ト「アラゴン」国王飛地南(フェルヂナン)ト婚姻シ、両国合併シ、又回徒ヲ追ヒ、「ナパール」国ヲ滅シ、三国一統ノ国治ヲナシ、此時始めて西班牙ノ名ヲ称シ、葡萄牙ノミ引キ分レタリ〉。久米邦武…

「ボーダーライン」

FBIの女性捜査官ケイト(エミリー・ブラント)がアメリカ国防総省の組織した麻薬カルテル撲滅のための特別部隊の一員に発令される。麻薬捜査ははじめてだったが、これまでの実績が評価されたリクルートだった。 彼女はさっそく捜査現場の責任者マット・グレ…

「それでも恋するバルセロナ」(西班牙と葡萄牙 其ノ九)

旅から帰りウディ・アレン監督「それでも恋するバルセロナ」を観た。バルセロナを舞台にした映画はいろいろあるような気がするけれど、どうもこの作品しか思いつかない。 アメリカからやって来たヴィッキーとクリスティーナは親友どうしだが恋愛とセックスに…

「ルーム」

ジョーイ(ブリー・ラーソン)はある日突然誘拐され七年にわたり監禁状態に置かれている。そのかんオールド・ニックと呼ぶ誘拐犯とのあいだにジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)が生まれ、母親となった。男児は五歳になる。オールド・ニックはふだんは不…

生ハム味ポテトチップス(西班牙と葡萄牙 其ノ八)

カタルーニャ音楽堂の近くにはデパート、商店が建ち並ぶ。ここで狙っていたのが生ハム味ポテトチップスで、日本では見かけないうえに1.5ユーロという嬉しい値段。おみやげに、旅行中のビールやワインのつまみにぴったりではないか。そんなわけで女性に大人気…

「リリーのすべて」

世界ではじめて性別適合手術を受けたリリー・エルベの実話を基にした伝記ドラマである。 老いてますますエンターテイメントに傾斜する「ゲイジュツ、関係おまへん」のわたしとしてはじつのところさほど気が進まなかったが、たまには人間の根源的なことがらを…

カタルーニャ音楽堂(西班牙と葡萄牙 其ノ七)

建築家リュイス・ドゥメナク・イ・ムンタネーが地元の有名合唱団オルフェオ・カタラのために設計したコンサートホール、カタルーニャ音楽堂。竣工は一九0八年。一九八二年から八九年にかけて大規模な修復が行われ、九七年にユネスコ世界遺産に登録された。…

『同調圧力にだまされない変わり者が社会を変える。』

本書は池田清彦の最新コラム集(大和書房二0一五年六月刊)。自然科学については皆目ダメなわたしの、やさしく、わかりやすく、できれば政治や社会と関連させながら論じてほしいという贅沢な願いに応えてくれるのが、むかし寺田寅彦、いま池田清彦だ。 「日…

サグラダ・ファミリアのガイドさん(西班牙と葡萄牙 其ノ六)

帰国して十日ほどして同行のYさんからLINEで左の写真が送られて来た。説明はなく、たしかにどこかで見た顔だが、さて、どこであったか。一日おいておなじくTさんから同様の写真が今度は説明付きで来た。それによると、帰国した三月六日二十三時からテレビの…

兼好と志ん朝

小野道風が書き写した『和漢朗詠集』を持っていると言う人がいたので、ある人が、藤原公任の編集した書物をそれより前の道風が書き写したというのは年代が違うでしょう、そんなことはありえないと指摘したところ、だからこそ世にも稀な、めずらしいものと応…

古典とモダンの混在(西班牙と葡萄牙 其ノ五)

写真左はサグラダ・ファミリア東側にある「生誕のファサード」の一部で、ここではキリストの誕生から初めての説教を行うまでの逸話が古典的な彫刻によって表現されている。 右は西側にあるモダンな彫刻群。こちらは「受難のファサード」と呼ばれていて、イエ…

陽光を浴びて(西班牙と葡萄牙 其ノ四)

丈高く、広々とした教会の空間には大胆と言ってよいだろう採光の窓が何箇所かあり、季節ごとに、また一日の時間の経過により内部の趣が変化する。それだけでもサグラダ・ファミリアは何度も訪れてみたくなるところだ。 ここはアルハンブラ宮殿やプラド美術館…