2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧
「少年」から「男」への通過点を描いた忘れがたい映画に「おもいでの夏」がある。 一九四二年の夏、第二次大戦の戦火を逃れてニューイングランドの海辺に来ていた十五歳のハーミー(ゲーリー・グライムス)は友人と遊びたわむれる日々を過ごすうちに、ある日小…
ミラノの大聖堂に近く、一大観光エリアの一角に立地しているのが不思議なほどサン・カルロ教会は静謐な雰囲気の裡にある。小さな木製のドアを押してなかに入ると中央に祭壇があり、左右の脇にも祈祷の場所が設けられていて、それぞれに二十本ほどのろうそく…
いままでに観た映画でいちばん怖い思いをしたのは高校生のときテレビで観た「嘆きの天使」である。一九三0年に製作されたこのドイツ映画はマレーネ・ディートリッヒの代表作であり、彼女とジョゼフ・フォン・スタンバーグ監督がはじめてコンビを組んだ映画…
はじめて野口冨士男の墓参に新宿の成覚寺へ出向き「野口家之墓」を捜したが見つからず、けっきょくすごすごと退散した。帰宅して調べてみると野口は両親の離婚により、のちに母の養子として平井姓に入籍し、野口は筆姓となっていたのだった。後日「平井家之…
須賀敦子は1961年11月15日、ミラノのコルシア・デイ・セルヴィ書店に勤めるジュゼッペ(通称ペッピーノ)・リッカと結婚した。新婦は三十二歳、新郎は三歳上だった。彼女ははじめてミラノの大聖堂を訪れて「あんなに華やかで、あんなに太陽にきらめいていた…
映画と野球はともにアメリカを代表する文化だ。ときに二つはリンクしてたくさんの優れた野球映画を生み出してきた。そこに黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンを描いた「42 世界を変えた男」が新たにくわわったと躊躇なく断言する。「42」はア…
前週の新宿ー青梅かち歩き大会につづき、昨日の日曜日は第22回荒川リバーサイドマラソンに出場した。一般男子六十歳以上の部7.5km、37分27秒の第22位。目標の1キロ5分以内はかろうじてクリアできたのはうれしいし、走れることに感謝もしている。そのうえで…
ミラノを象徴する大聖堂(ドゥオーモ)は大広場にそびえ立ち威容を誇る。建造は一三八六年にはじまり、宗教改革による中断を経て一八一三年に完成した。 この見事な建造物について、須賀敦子はロンバルディア平野の遠くから白く太陽に輝く姿にこころ打たれた…
香港の繁華街で爆破テロが起こり、同時に警官五人が乗る車が何者かに拉致される事件が発生する。香港警察の長官は海外出張中で二人の副長官が留守を預かっている。両者はともに次期長官と目されるライバルで、一方は刑事出身で現場たたき上げのタカ派リー(…
エティハド航空で成田からアブダビ空港へ、このかんおよそ十二時間、アブダビで四時間待機してミラノ、マルペンサ空港へ七時間の飛行はなかなか辛いものがあったが、この苦労を厭っていてはお安い旅行はできない。 映画を観て過ごそうと日本語字幕や吹替え作…
この十月の中旬から下旬にかけてイタリア周遊ツアーに参加し各地をめぐってきた。旅程は成田空港発アブダビ経由でミラノのマルペンサ空港へ、ミラノ〜フィレンツェ〜ポンタシエーベ〜ローマ〜シエナ〜ピサ〜ヴェネツィア〜ベローナ〜ミラノと観光し、復路は…
昨日は第89回新宿ー青梅43キロかち歩き大会に参加した。天気予報では午後からの雨は避けられない模様だったが、前夜、世話役をしていただいてるNくんから、明日は予定通り参加するものと思ってくださいとの力強いメールが届き、これは傘をさしてでも歩き通さ…
漱石夫人夏目鏡子に『漱石の思ひ出』という著書がある。鏡子が口述し、漱石の弟子で長女筆子の夫松岡譲が筆録した。 この回想記が雑誌「改造」昭和二年(一九二七年)十月号に掲載されたとき、永井荷風は『断腸亭日乗』同年九月二十二日の記事で「不快の念に…
さきごろワシントンに滞在した知人からおみやげを頂戴し、なかにEaster eggの枠にホワイトハウスが描かれたブックマークやジョージ・ワシントンからバラク・オバマまで歴代大統領の胸像を並べたコップがあった。ブックマークは米国製だが、コップは中国製。…
ロシア文学者から脚本家に転じて「また逢う日まで」や「夫婦善哉」「雪国」などの名作を執筆した八住利雄の家では、長男の八住利義が中学生のころから父のラジオドラマの代作をやっていたという。「ヤスミ、手で書く、足で書く」といわれた多作の父の多忙を…
録画しておいた「カレンダーガールズ」(2003年)を愉しく観た。「フラガール」を思わせる作品で、ヘレン・ミレンをはじめとするイギリスはヨークシャーのおばちゃん、おばあちゃんが、白血病の研究への寄付金づくりに自分たちをモデルにヌードのカレンダー…