2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『風と共に去りぬ』にのめり込んで

二月一日、横浜市保土ヶ谷区において歩行者の男性が切りつけられた事件で、六十二歳の男が逮捕された。容疑が事実とすれば、なかなか悪のエネルギーをもつ六十二歳だが、平成令和の六十代のイメージだと特段の驚きはない。 松本清張『黒い画集』(新潮文庫)…

「メグレと若い女の死」~メグレ警視とあの頃のパリ

興味深い謎とその論理的解決、探偵・犯人のキャラクター、犯罪の背後にある時代の雰囲気・世相風俗、いずれもわたしを含め多くのミステリーファンが期待することがらで、映画ではこれに、語り口にふさわしい映像と音楽を加えなければなりません。 ここまでを…

「エブエブ」に茫然

血湧き肉躍るアクションやサスペンスフルなミステリー作品は大好きですが、 マンガ、SFまた前衛とかゲージュツが苦手でそれらの味が濃くなると腰が引けてしまいます。 ですから予告編だけで「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」は自分に…

『60歳すぎたらやめて幸せになれる100のこと』~人生のエンディングを軽やかに

『60歳すぎたらやめて幸せになれる100のこと』というムック仕様の本を読んだ。二0二一年十月に宝島社から刊行されている。 人生のエンディングを軽やかに生きていくために大切な「やめること」「捨てること」「離れること」「距離のとり方」「縁の切り方」…

『彼は彼女の顔が見えない』〜1日100頁の快調

ストーリーをたどるのが苦手だ。先日、佐々木譲原作の韓流映画「警官の血」を観て、それなりに面白かったけれど、登場人物の整理がつかないまま終わった。原作は読んでいて、しかしこれほど複雑だった印象はないのに困ったものだ。 それはともかく、いま読み…

「恋人よ我に帰れ」

ある英文法の本に、The earth、The sunがともに定冠詞付きで使われるのは、地球も太陽もひとつしかないものであり、十分に特定されていると想定されるからだと説明があった。 The sky was blue and high above The moon was new and so was love. わたしがカ…