2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

読書がスランプ・・・

『都筑道夫の読ホリディ』は「ミステリマガジン」1989年1月から2002年9月まで連載された読書随筆で、毎月数冊批評されるミステリーをたどってゆくとおのずとこの世界の動向や底流の理解につながる。初期でいえばトマス・ハリス『羊たちの沈黙』やジョナサン…

国連本部ビル

「北北西に進路を取れ」で国連本部ビルのラウンジにタウンゼントという人物を訪ねたケーリー・グラントは殺人事件の犯人にまちがえられる。この八月にバスから国連本部ビルに降り立ったときすぐにこのシーンが思い浮かんだ。もっとも撮影は別の場所で行われ…

「凶悪」

エンドロールが終わったとき緊張と疲労と圧倒された気持で、瞬時であるが立ちあがる力を失っていた。 白石和彌監督の作品に接するのは本作がはじめてだが、なるほど師事した若松孝二のパワーを彷彿とさせる。 ヤクザの組長だった死刑囚の須藤順次(ピエール…

「タンゴ・リブレ 君を想う」

「タンゴ ガルデルの亡命」「タンゴ」「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」「タンゴ・レッスン」「伝説のマエストロたち」・・・・・・タンゴがフィーチャーされた映画はできるだけ見逃さないようにしてきた。ノスタルジックな名曲が多いうえに、ダンスシーンがス…

ローマで買った傘

一昨年ローマで小銭を処置しておきたくて帰国する前夜スーパーマーケットをのぞいて折りたたみの傘を買った。旅の思い出のよすがとするには雑貨、日用品がよい。 須賀敦子がイタリアで暮らしはじめた一九五0年代末頃は学生をふくめて生活がぎりぎりという階…

『須賀敦子全集』

須賀敦子『ミラノ 霧の風景』は1990年に刊行されていて、そのころから気になる人でありながら読むには至らず、しかし読むときはそのすべてを読みたい人だと予感していたから2006年に河出文庫版全集が出たときに買い揃えた。 それから七年間寝かせてこのほど…

「許されざる者」

クリント・イーストウッド監督・主演による西部劇映画『許されざる者』が舞台を明治時代初期の蝦夷地に移し、北海道の雄大で荒々しい自然を背景にした壮烈なドラマとしてリメイクされた。 幕末に賊軍として追われながら官軍兵士をメッタ切りにして人斬り十兵…

都電荒川線

都電荒川線三ノ輪橋駅。ここと早稲田のあいだを路面電車が走る。もとは王子電気軌道によって敷設された路線だったから、お年寄りのなかには呼び慣れた「王子電車」「王電」と口にする方もいらっしゃるとか。 スクリーンでは市川準監督の「東京兄妹」(1995年…

「バークリースクエアのナイチンゲール」

子供のころナイチンゲールという鳥類の名前を聞き、その前に近代看護教育の母フローレンス・ナイチンゲールさんを知っていたので、おなじ名前なんだなあと思ったようにおぼえているが、ひょっとするとその逆で、先に鳥の名前を知っていて、おなじ名前の人が…

浄閑寺

十一月に行われる荒川リバーサイドマラソンのエントリーに荒川区総合スポーツセンターに行って来た。上野に出て三ノ輪まで歩くと南千住のセンターはもう近い。 三ノ輪に来て浄閑寺を通りすぎるわけにはゆかない。この日も同寺にある永井荷風の筆塚に詣でた。…