2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧
寺田寅彦には俳諧連句と関連づけて映画を論じたユニークな評論「映画時代」をはじめいくつかの映画論がある。また短章を集成した『柿の種』でもところどころで映画に触れていて、なかに新宿の武蔵野館で観た「トルクシブ」というソビエト映画によせて、中央…
三原橋地下街にある銀座シネパトスが三月末で閉館する。堀割が埋められたあとに建った劇場で、東日本大震災を機に耐震性の問題から取り壊しが決まった。メモリアル上映として「銀幕の銀座 懐かしの風景とスターたち」が企画され、さきごろ二日かけて「君の名…
横道世之介という若者が法政大学に進学する。八十年代の後半のこと。お人好しですこし不器用、猪突とか猛進とかとは真逆、名前の通りちょいと横道へ入ってのんびり、おだやかに時を過ごしているといったタイプだ。 高良健吾が扮した長崎県の港町出身の若者は…
春分の日、高尾山へ登った。凄腕の人たちが企画立案してくれているので時間、行程、予算等はすべてお任せ、自分でやっておくことはなんにもなくほんとありがたい。 千代田線根津駅八時一分発に乗り、新御茶ノ水=小川町で京王線乗り入れの都営新宿線に乗り換…
自宅に近い根津神社に梅の花が咲いている。社殿にむかい左に白梅、右に紅梅、それぞれ一木が植わる。 群木いっせいに花開き、空をおおうほどにたなびく桜の光景の壮観とは異なり梅は一木一輪に可憐な美しさがある。梅林のひろい眺めよりも一木一輪の姿に惹か…
先日電子ブック(Kindle)なるものを買った。衝動買いといういつもの悪い癖だが結果はめずらしく吉と出た。正直なところあんなもので本が読めるだろうかと思っていたけれど、いざ使ってみてたちまち虜になった。もちろんこれにはテキストを提供して下さってい…
新文芸坐の特集上映「高峰三枝子と八人の巨匠」で「暖流」と「婚約三羽烏」を観た。ともに大好きな映画なのでとてもごきげん。前者の高峰三枝子の志摩啓子と水戸光子の石渡ぎん、二人の役名はめずらしくしっかりおぼえている。ほかに昔の邦画ですぐ挙げられ…
ことし平成25年の大学入試センター試験は1月19日、20日、各大学の選抜は東京大学のばあい前期が2月25日、26日、後期が3月13日となっている。長ければふた月ちかく緊張状態に置かれるなんて受験生はこれが当たり前の制度と思っているだろうが一大学の受験を一…
昨日三月十日は、第88回新宿ー青梅43kmかち歩き大会に参加。わたしは昨年の三月と十一月につづいて三回目の出場。いっしょに参加したNくんとOくんは八回目で、十回になると表彰されるので来年の三月は記念の大会になりそう。 8:30 新宿西口中央公園を出発。…
この三月六日は二十四節気のうちのひとつ啓蟄にあたっていた。春の暖かさに冬ごもりしていた虫が外に這い出てくるころをいう。 啓蟄のつちくれ躍り掃かれけり(禅寺洞) 水あふれゐて啓蟄の最上川(澄雄) 寒さに閉じこめられていた虫たちが表戸を開き、だん…
永井荷風に関東大震災後の上野公園の変化を眺めながら明治以降のこの界隈を偲んだ「上野」という随筆があり、公園はじめ池之端、向ヶ丘、根津、千駄木、谷中等のかつての姿を知るのに簡にして要を得た最良のガイドとして重宝している。 そのうち根津について…
南北戦争前夜のアメリカ南部。荒涼とした平原の映像に肉太の真赤な文字が重なる。いつか見たマコロニ・ウェスタンの光景。そこに漂うB級のテイストにはやくも魅了された。 ドイツ系のドクター・キング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)ははじめ歯科医だっ…
9・11アメリカ同時多発テロ事件から十年、首謀者とされるビン・ラディンが二0一一年五月二日に潜伏先のパキスタンで米軍に捕らえられ殺害された経緯がリアルに描かれた映画だ。 具体にはCIA最先端技術による情報収集、拷問、スパイ活動、シールズ隊員による…