2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

いまひとたび、人生七十・・・

ことし二0二一年三月三日に九十三歳で亡くなった小沢信男の遺著『暗き世に爆ぜ 俳句的日常』(みすず書房)に「初湯殿卒寿のふぐり伸ばしけり 青畝」という一句があった。 作者阿波野青畝(あわのせいほ1899-1992)は原田浜人、高浜虚子に師事し、昭和初期…

人生七十・・・

「人生七十古来稀」と前書があるから大田南畝(1749~1823)が七十歳を迎えたときの作だろう。 「一たびはおえ一たびは痿(なえ)ぬれば人生七十古来魔羅なり」 「おえ」は生え、でよいのかな。いま七十歳の老輩が身につまされたのはいうまでもありません。 …

アリゾナ、大黒家、荷風私邸

晩年の永井荷風が日課のようにしていた浅草への出遊が最後となったのは亡くなった昭和三十四年(一九五九年)の三月一日だった。 『断腸亭日乗』には「三月一日。日曜日。雨。正午浅草。病魔歩行殆困難となる。驚いて自働車を雇ひ乗りて家にかへる。」とある…

新コロ漫筆〜酒と煙草

作家の平野啓一郎氏が、世界的に人が酒を飲まなくなってきており、長期的には酒に頼らない経営も考える時期に差し掛かってるんだろうなぁ、コロナで付き合いがなくなったのを機に酒を止めた人もいる、とツイートされていた。 人類の酒量が落ちてきているとい…

久しぶりの日本橋

十月になったので、若月紫蘭『東京年中行事』(明治四十四年刊)の十月の項を開いたところ「月始めより団子坂、国技館、花屋敷など、菊人形開園す」とあり、運動会、ボートレース、修学旅行などに触れたあとに「初旬より中旬にかけ一週間図書せり市立つ」と…

『モーリタニアン 黒塗りの記録』

二00一年十一月すなわち911の二ヶ月後モーリタニア人でドイツ留学経験のあるモハメドゥ・オールド・サラヒ(タハール・ラヒム)は現地警察に連行され、そのままアメリカ政府に捕らえられました。収容先はキューバのグアンタナモ湾にあるグアンタナモ米軍基…