英語のノートの余白に(3) emotional coloring

江川泰一郎『英文法解説』(金子書房)を読んでいるとときに英文法って面白いなと思う。さすが柴田元幸、西村良樹、森田修シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』(アスク出版)に「これ1冊持っていれば十分かもしれません。読み物としても大変面白く」と紹介されているだけのことはある。

たとえば英語の現在進行形について。現在進行形は動作の反復を強調する場合があり、多くalways ,constantly ,continually などの副詞語句を伴う、その際、話者の非難、困惑、賞賛などの感情的色彩(emotional coloring )が加わる。

例文のひとつ。

You’re always getting invited out.No one ever invites me to any place.

あなたはいつも招待で出かけているのね。私にはだれもどこへも声をかけてくれないのよ。こんなふうにやっかみと不満の感情的色彩が加わるのである。

著者は「感情的色彩の種類も文脈によるが、実際には非難の気持ちを含む場合が多い。しばしば繰り返される行為に対しては、共感を持つよりも反発を感じるほうが多いからであろう」と論じている。

安藤貞雄『基礎と完成 新英文法』(開拓社)には以下の例文があった。

He is always smoking.(彼はいつもたばこをふかしている。[いやだなあ])

The child is for ever eating.(その子は始終何か食べている。[食いしんぼうだな])

仮に職場にいろいろな相手と商談を成立させるのに長けた社員がいて、その周囲にさほど業績が上がらないあなたがいる。同僚が次々と商談をまとめ上げてゆく光景はあなたの目にどのように映るだろう。共感、礼讚それとも妬みや反発、感情的色彩はおのずから明らかだろう。