2022-01-01から1年間の記事一覧

ロシアの侵略に思う

ウクライナが気の毒でときにTVニュースを見ていられない。映像を見るのが辛い。しかし情報は知っておきたいのでその際はラジオに頼っている。 二月二十三日プーチン大統領はウクライナ国内の親ロシア派支配地域の独立を承認する大統領令に加え、ロシアと両地…

『ウディ・アレン追放』〜「事件」を知るためのまたとないノンフィクション

日本で公開されたウディ・アレンの映画(監督作品、出演作品ともに)はずっと見てきた。出来不出来はあっても長年にわたるおつきあいだからなんだか生活習慣のようになっていて、書店で猿渡由紀『ウディ・アレン追放』(文藝春秋)という本が並んでいて、ひ…

「ウエスト・サイド・ストーリー」

「ウエスト・サイド物語」が日本で公開されたのは一九六一年十二月二十三日でした。そのころわたしは小学五年生で、映画をみたのは六年生のときだったと記憶していますが、あるいは五年生だったかもしれません。 どうしてこの映画に接したのかは思い出せませ…

大相撲初場所

元旦。おめでたい和歌を三首。 「春毎に松のみどりの数そひて千代の末葉のかぎりしられず」(志賀随翁) 「たらちねのちとせのよはひ末高くかはらぬやどにきますたのしさ」 「万代のとしにもあまる君がやどにとも引つれてあそぶ老鶴」 大田南畝『一話一言』…

柳橋

永井荷風ゆかりの地の散歩で久しぶりに柳橋界隈を廻った。ここは新橋、葭町、人形町、新富町などととともに昔の東京を代表する芸者街、かつての風情でいえばかろうじて屋形船にその名残りがうかがわれる。 柳橋と対比されるのが新橋で、荷風は柳橋の上品で、…

「声もなく」

ホン・ウィジョンという一九八二年生まれの新人監督が撮った韓流作品です。素晴らしいというか、凄いというか、いずれにしてもこれから要注目の女性監督に大きな拍手を贈ります。 鶏卵の小売をするいっぽう犯罪組織から死体処理を請け負う中年チャンボク(ユ…

「ハウス・オブ・グッチ」

グッチオ・グッチによって一九二一年に創業されたイタリアのファッションブランドGUCCIの創業家の興亡に目を凝らしつづけた159分でした。一九七八年からおよそ二十年にわたるグッチ家の繁栄、抗争、確執、悪行、愛憎などを盛り込んだ長尺のドラマをだれるこ…

真珠湾攻撃と俳句

十二月。それまで忘れていても月はじめになると歳時記を手にするのが長年のくせというか習慣になっている。 「路地ぬけてゆく人声や十二月」(鈴木真砂女) どうして十二月なのかと思わぬでもないが、ほかの月と違って音数が五音なので坐りがいいね。 「どぜ…

芥川龍之介を読もう!(二)

まずはネットにある青空文庫の芥川龍之介全作品を読んでみることをことしの読書の抱負とした。これを書いているいま、すでにとりかかっていて、王朝もの、切支丹もの、日本や支那の古典、説話に題材をとったものなど多彩な作品世界に魅せられている。これま…

芥川龍之介を読もう!(一)

昨年の暮れ、鬼に笑われたくないけれど、来年二0二二年の読書の第一目標を芥川龍之介全集の通読とした。テキストはネット上の青空文庫の芥川作品を集成し『筑摩全集類聚版芥川龍之介全集』に準拠して並べたものだから、げんみつには全集ではないが、とりあ…

「天才バイオリニストと消えた旋律」

一九五一年、将来を嘱望されている若手ヴァイオリニスト、ドヴィドル・ラパポートのデビューコンサートが開かれるその日、かれは忽然と姿を消した。リハーサルを終え、あとは本番を迎えるばかりだったのに。 冒頭に提出されたこの謎にたちまち引きつけられま…

マイ・ファニー・ヴァレンタイン

ジャズのスタンダードナンバーでいちばん歌われ、演奏される機会の多い曲はなんだろう。第一感は「 マイ・ファニー・ヴァレンタイン」( my funny valentine )で、ボーカル、インスツルメントゥル問わずいろんなアルバムに収められていて聴く機会が多いこと…

お年賀

明けましておめでとうございます 本年もよろしくお願い申し上げます 二0二二年一月一日 先ごろ古稀を迎えて感慨にひたっていたら、もう年男がめぐってきました。寅年の七十二歳、なにがめでたいと表向きは突っ張っているのですが、心のなかではよい年であっ…