数寄屋橋跡


三原橋地下街にある銀座シネパトスが三月末で閉館する。堀割が埋められたあとに建った劇場で、東日本大震災を機に耐震性の問題から取り壊しが決まった。メモリアル上映として「銀幕の銀座 懐かしの風景とスターたち」が企画され、さきごろ二日かけて「君の名は」全三部を観た。二部、三部は未見だったからようやく全体を眺めることができた。
「君の名は」の挿入歌には「黒百合は恋の花・・・・・・この花ニシパにあげようか」(「黒百合の歌」)「ゆけよ幌馬車唐松林/雲の流れのさいはてに」(「花のいのちは」)「恋は悲しい雲仙の/花のつつじも霧氷の蔭に」(「君は遙かな」)「我は遙かなフランスの/セーヌのほとり旅路のはてに」(同)といった歌詞がある。数寄屋橋で出会った氏家真知子と後宮春樹の恋物語がどうして北海道や雲仙、パリなのかが全三部を観てよく理解できました。原点となった数寄屋橋だが、いまは「数寄屋橋此処にありき 菊田一夫」と刻まれた碑が建つのみだ。