この十月の中旬から下旬にかけてイタリア周遊ツアーに参加し各地をめぐってきた。旅程は成田空港発アブダビ経由でミラノのマルペンサ空港へ、ミラノ〜フィレンツェ〜ポンタシエーベ〜ローマ〜シエナ〜ピサ〜ヴェネツィア〜ベローナ〜ミラノと観光し、復路は往路とおなじアブダビ経由で成田着というもの。北イタリアの名所を中国語の「走馬看花」、早馬に乗って花を見て廻る趣の旅である。
『須賀敦子全集』で『ミラノ 霧の風景』『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』等を読み継ぎ、出発当日の朝ようやく『トリエステの坂道』を読み終え、手持ちのバッグに旅の手引書として須賀敦子、松山巌ほか『須賀敦子が歩いた道』を入れて空港に向かった。旅の予習を兼ねた読書だが、この機会を失すると彼女の著作に接することはないかも知れないとの思いもあった。よい読書体験がよい旅をプレゼントしてくれたといま須賀さんに感謝している。
