2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

なでしこの敗戦に思う

読書に倦んでひと休み、ふと思いついてYouTubeでジャズの映像を探しているうちにコンコード・ジャズ・フェスティバル1986でのマキシン・サリヴァンとスコット・ハミルトン・クィテットのビデオをアップしてくれている方がいらして感激! 歌の文句じゃないけ…

サグラダ・ファミリア(西班牙と葡萄牙 其ノ三)

バルセロナに着いてさいしょにサグラダ・ファミリア(聖家族贖罪教会)を訪れた。スペインの観光といえばこことアルハンブラ宮殿くらいしか思い浮かばないわたしにはなんだか途中の山道を踏みしめることなく一挙に山の頂上に登ってしまった感じだった。 民間…

「ディバイナー 戦禍に光を求めて」

第一次世界大戦後、オーストラリア人の農夫ジョシュア・コナー(ラッセル・クロウ)は、戦争で行方不明となった三人の息子の遺骨を探すために戦場だったトルコへと向かう。息子たちの不幸に衝撃を受けて自殺した妻の願いを叶える旅でもあった。 スクリーンに…

スペインとポルトガル(西班牙と葡萄牙 其ノ一)・IS事件の余波(西班牙と葡萄牙 其ノ二)

「スペイン&ポルトガル周遊9日間」というツアーに参加して両国を観光してきた。二つの国ともに訪れるのははじめての「走馬看花」の旅である。成田空港〜イスタンブール空港経由バルセロナ〜サラゴサ〜マドリード〜ラ・マンチャ〜グラナダ〜ミハス〜セビリア…

ビリー・ホリディのこと〜「キャロル」の余話の二

ビリー・ホリディは人種差別、麻薬、アルコール依存性などとの壮絶な戦いを余儀なくされた。その生涯は自伝「奇妙な果実」に詳しい。けれど、そうした彼女の人生のイメージは少しばかり増幅され過ぎた感がありはしないだろうか。 ジャズに親しむようになって…

「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

ハリウッドは政治や社会の問題を扱うのに長けている。エンターティメントとして作り上げる手法に優れている。古典から一例を挙げると「カサブランカ」はメロドラマとしても戦意高揚映画としても一級品だった。 近年「事実に基づく」とか「事実にインスパイア…

上海、無錫、蘇州に遊ぶ(其ノ一)

駆け足で上海、無錫、蘇州を廻った。三月半ば、江南の春というにはやや早い。さいしょに上海を訪れたのは一九七六年三月、二度目は七九年八月だから今回はずいぶん御無沙汰の三度目になる。また無錫と蘇州ははじめての旅だった。 たいへんな人出の外灘(バン…

「イージー・リビング」〜「キャロル」の余話

デパートのおもちゃ売り場にアルバイトとして勤める十九歳のテレーズはお客のなかに優美と華やかさを併せ持つ女性を見て心惹かれる。 パトリシア・ハイスミス『キャロル』の冒頭のシーンで、まもなくテレーズはそのキャロルという美しい人妻と交際するように…

台東区役所総務課

昭和三十三年に公開された刑事映画の傑作「張込み」(野村芳太郎監督)で、東京から佐賀へと犯人を追うベテランの下岡刑事(宮口精二)と若手の柚木刑事(大木実)は猛暑のなか昼夜を分かたぬ張込みを続ける。 こういうときは飯と菜を同時に食べられる料理が…

「もうヒトツのソラ」展

表参道のギャラリー「PROMO-ARTE」で催された(二月十八日〜二十三日)森泉笙子さんの「もうヒトツのソラ」展へ行ってきた。絵画の展示とともに著書や関根庸子の名で日劇ミュージックホールにショーダンサーとして出演したときの公演パンフレット、グラビア…

谷中五重塔跡

幸田露伴の小説『五重塔』のモデルとなった谷中の五重塔はかつては谷中霊園のシンボルとしてそびえていた。 小説では、落成式の前夜、江戸は暴風に襲われたが、のっそり十兵衛はいささかも動じない。そして最後に「塔の倒れるときが自分の死ぬとき」と心に決…

「キャロル」

デパートのおもちゃ売り場に勤めるテレーズ(ルーニー・マーラ)は、ブロンドで、スタイルのよい身体を毛皮のコートで包んだ素敵な女性がクリスマスプレゼントを探している姿に目を奪われる。のちにキャロル(ケイト・ブランシェット)と知ったその女性は優…