上海、無錫、蘇州に遊ぶ(其ノ一)


駆け足で上海、無錫、蘇州を廻った。三月半ば、江南の春というにはやや早い。さいしょに上海を訪れたのは一九七六年三月、二度目は七九年八月だから今回はずいぶん御無沙汰の三度目になる。また無錫と蘇州ははじめての旅だった。
たいへんな人出の外灘(バンド)を散策しながら若いガイドくんと話をした。
「上海へいらしたのはいつですか」「はじめて来たのは四十年前」「そのころの外灘ってどんな感じでした」「もちろん高層ビル群はなくブロードウェイマンションがいちばん高いビルでした。たくさんの人民服の労働者が手すりにもたれて黄埔江を眺め『発呆』(ぼけーっとする)していたのをおぼえています」「ブロードウェイマンションって?」「上海大厦のこと」というふうにもうこちらは古老扱いされておりました。
写真はブロードウェイマンションのある旧イギリス租界側から黄埔江と新しい高層ビル群を眺めたところ。