ミントティー(モロッコの旅 其ノ二十八)


トルコの人たちはいつでもどこでも一日に何度もチャイを飲んでいる。わたしもトルコでは行く先々でチャイダンルックという特別な二段がさねのポットで淹れるトルコ風紅茶を飲んだ。郷に入り、郷に従ってトルコの旅を体感した。モロッコではミントティーがチャイに代わる。
トルコとモロッコに茶をもたらしたのはイギリスだが、イギリス人の嗜好がそのまま受容されたわけではなく、両国とも自分たちに最適の風味を求めた。その風味はお国料理にも上手く作用しなければならない。それがチャイでありミントティーだった。歴史的にはこういう理解でよいのかな?
フェズでは一般の家庭を訪問し、家族がいつも飲んでいるミントティーを淹れていただいた。茶葉の濃さ、ミントと砂糖の量がそれぞれの家族のミントティーの味である。わたしたちがいただいたのはおふくろではなく親父のミントティーだった。