アドロン・ホテル


ベルリンのブランデンブルク門のすぐそばにあるアドロン・ホテルは『第三帝国の興亡』の著者ウィリアム・シャイラーや『ヒトラーに会った!』のドロシー・トンプソン(夫はノーベル賞作家のシンクレア・ルイス)といった1930年代在独米国人ジャーナリストの定宿、また同国からやって来た著名人の多くはここにチェックインした。
ことし一月にベルリンへ行った際、現地ガイドさんから、ここが映画「グランド・ホテル」のモデルだったと聞いた。さまざまな人物がひとつところに集い、そこでの出来事が巧みに組み合わされて進行するドラマ、いわゆる「グランド・ホテル形式」の原点がここにある。
「グランド・ホテルは変わらない。人々が来ては去ってゆく。すべてはもとのままだ」。このセリフに作品のモチーフが表現されている。製作は1932年、同年ドロシー・トンプソンはヒトラーにインタビューを行い『ヒトラーに会った!』を著し、なかでヒトラーが政権を取ることはまずないだろうと論じたのだったが・・・。