ロカ岬(西班牙と葡萄牙 其ノ四十六)


ロカ岬は首都リスボンから西へおよそ三十km離れたところにある。ユーラシア大陸最西端に位置していて、眼前には大西洋が広がる。突端や辺境と聞くだけでわたしの旅心は高ぶる。じっさい百四十メートルの高さから雄大な大西洋を望んだのはうれしく得難い体験だった。
岬に立つ石碑には、十六世紀の人で、ポルトガル史上最高の詩人と評されるルイス・デ・カモインスの叙事詩ウズ・ルジアダス」の一節「ここに地終わり海始まる(Onde a terra acaba e o mar começa)」が刻まれている。
写真はここでいただいた「ユーラシア大陸最西端到達証明書」で、ペン書きの文字は古体字との説明があった。証明書の裏には日本語を含む数か国語で説明があり「新世界を求め、未知の海へとカラベラ船を繰り出した航海者たちの信仰心と冒険魂が、今に尚、脈打つところです」とある。カラベラ船は三本のマストをもつ小型の帆船で、十五世紀、ポルトガルやスペインの冒険家たちに愛用された。