象の飼育場で(2017夏タイ 其ノ六)


日本列島がユーラシア大陸と陸続きだったころ、日本にもナウマン象がいたそうだ。遠い昔に絶滅したが、そのあと文献上、象が日本へ初渡来したのは応永十五年六月二十二日(一四0八年七月十五日)のことで、東南アジア方面からの南蛮船により、足利義持への献上品として連れて来られたのだった。その後、豊臣秀吉徳川家康徳川吉宗も象を献上されている。
時代変わって第二次大戦後の一九四九年には「子どもたちへの贈り物」としてタイから二歳のメス象が贈られ「はな子」と名付けられたその象は友好のシンボルとして大人気者になった。昨二0一六年五月二十六日、六十九歳にしてその生涯を閉じたのは記憶に新しい。
アユタヤで訪ねた象の飼育場にはオーストラリアから数名が飼育の研修に来ていた。あちらでもタイの象は子供たちの人気者となっている。