エティハド航空機内で(2015オランダ、ベルギーそしてパリ 其ノ一)

九月二十日ラグビーワールドカップ2019日本大会が開幕し、いま各地で熱戦が繰り広げられている。

日本は二十日の対ロシア戦につづき、二十八日にはこれまで勝ち星のなかったアイルランドにはじめて勝利した。数日前、ビアホールで子供と飲み、次戦で日本がアイルランドに勝てば優勝を狙えると言った。酒のうえでの大言壮語ではなく、マジな話だが、それだけ難しくもあった、その相手に勝ったのだ。夢は正夢になり、予選リーグでは全勝通過が現実味を帯びて来た。

四年前の対南アフリカ戦、日本はノーサイド直前のトライに賭けて逆転に成功した。賭けの成功は奇跡的だった。けれど対アイルランド戦は、後半の後半には日本の勝利を確信できたから快挙であっても奇跡ではない。ノーサイド寸前、インターセプトしたボールを持って駆ける福岡選手にアイルランドの二人の選手が追い、ゴールライン寸前で追いつきトライを防いだのはさすがだったが、総じて元気を失い、足が止まってきたと見えたアイルランドだった。日本が世界ランキングの上位に映るほどの盤石の勝利、横綱相撲だった。

いかん、いかん。ここはラグビーではなく旅の話だった。

前回のWCイングランド大会が開催された二0一五年の秋、わたしはオランダ、ベルギーのいくつかの都市とパリを旅した。充実した旅だった。早く記録しておきたいと思いながら手で書くより足を動かすのが忙しく、はや四年が経ったが日本大会の開幕に促されるような気分でなんとかまとめてみた。

このときの旅程は成田空港からアブダビ経由でアムステルダムへ、そしてハーグ、キンデルダイクブルージュアントワープブリュッセル、パリ、そして復路はパリからおなじくアブダビ経由で成田へ帰った。

ラグビーワールドカップの年にふさわしくエティハド航空機内では二00三年オーストラリア大会で優勝したイングランドスタンドオフジョニー・ウィルキンソンをフィーチュアした番組がプログラムに組まれていた。オーストラリア代表ワラビーズとの決勝戦で劇的なドロップキックを決めた姿はこれまでのWC史上最高のシーンだ。

いつだったか来日したウィルキンソンを見たくて国立競技場へ足を運んだが、けがで欠場し見られなかったのが残念だったことなどを思い出しながら往路も復路もこの番組を見た。

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