三遊亭圓朝墓所

三遊亭圓朝墓所千駄木、団子坂向かい側の三崎坂のとちゅう全生庵にある。写真は同寺にある翁の石碑で明治の元勲井上馨が筆を執っている。
圓朝が熱海に滞在していて、他の旅館に贔屓にして下さる華族が来ているというので弟子が気をきかしてだろう、師匠に断りなく御機嫌伺いに出た。それを知った圓朝は「お前はいつ太鼓持ちになった。芸人はお客からお招きを受けて行くものだよ。余計なことをするものではない」ときびしく叱ったという話が森銑三『明治人物夜話』に見えている。
幇間の名人は、客と差し向かいでだまってお客の話を聞いてやり、切りのよいところでツボを押さえた質問をしてやると、お客は「うんッ、よく聞いてくれた」ってんでまたしゃべる。こんなふうに何を話題にすれば喜ぶかを見抜いたうえでよい心地にさせるそうだ。
落語の上手な太鼓持ち噺家から転身した幇間はいたそうだけれど、圓朝のエピソードと幇間の名人をならべてみると両者の違いが見えてくる。