石畳(西班牙と葡萄牙 其ノ四十五)


ドライバーには申しわけないが、車の走行時、石畳は摩擦が大きく、タイヤと石畳が接する音もうるさい。アスファルトにしたほうが経済的、効率的ではあるが、それでは味気なく観光の魅力も減ってしまう。
神楽坂の石畳の小路をときどき散歩するが、あそこがアスファルトになると情緒も滋味もないといって過言ではない。
アッピア街道に見られるようにローマ帝国は紀元前に早くも石畳による道路の舗装に取り組み、やがて帝国各地に石畳の道路を敷いた。これは生活上の利便性だけでなく、軍事面でもローマの優位を示すものであり、いまそれらの石畳が観光資源としてヨーロッパの旅に素敵な彩りを添えている。
エヴォラの神殿にそそぐ陽光、青空にそびえたつ大聖堂、サン・フランシスコ教会の鐘の音、いずれも石畳の道あってこそである。