「テイクオーバー」〜意外な拾い物

Netflixで配信されているオランダ製作の「テイクオーバー」は無職渡世の老爺の暇と退屈をしばし忘れさせてくれて、意外な拾い物感がありました。ゲージュツとか深い思索などまったく関係なく、現代のネット社会を素材に、昔ながらの巻き込まれ型のドラマが展開されます。若いころからわたしは巻き込まれ型が大好きなんです。

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ホワイトハッカー(コンピューターなどに関する高度な知識や技術を、善良な目的のために活用する技術者とはこの映画ではじめて知りました)のメル・バンディソンがハイテク自動運転バスのデータ漏洩を回避させたところ、バス会社のシステムがある国際的な犯罪ネットワークとつながっていて、彼女は組織から追われる身となります。組織は殺人現場にいる彼女の偽動画を流し、そのため犯してもいない殺人の罪で警察からも追われる立場となります。メルは一度だけブラインドデートをしたことのあるトーマス・ディーンの家に逃げ込み、成り行きで若い男女は逃亡の道連れとなってしまいました。いうまでもなく逃げてばかりでは危機からの脱出はできませんから物語はおのずと敵との戦い、冒険に転化します。

ネットでは、最先端の技術を誇るバス会社にしてはあまりにもセキュリティが甘すぎ、バス会社のセキュリティがゆるゆるといった批評が散見されましたが、わたしはこの映画でホワイトハッカーを知ったくらいですから技術面は皆目わからず、無知であることでかえって面白く観られたかもしれません。

それはともかくホワイトハッカーが主人公というのは新奇でしょうけれど、物語の型は昔からある冒険活劇で、その風味は、映画館の毎週の番組(プログラム)を埋めるために量産される映画(ピクチャー)そのもの、けして悪口ではないですからね、為念。

そうそう、国際犯罪組織の中核を中国企業としたのもオランダ国民の中国観を反映している気がしました。