「デンジャラス・ライ」

緊急事態宣言のなか、つれづれなるままに「デンジャラス・ライ」(Netflix)という聞いたことのない(もちろん見たこともね)映画をみました。デンゼル・ワシントンの「デンジャラス・ラン」じゃないですよ、念のため。

チョイスしたのは、貧困にあえぐ介護人に舞い込んだ裕福な患者の全財産、という簡単な紹介から、大好きな巻き込まれ型の物語らしいと推測できたからでした。結果をいえば正解で、マイケル・スコット監督、二0二0年の作品は昔なつかしいB級ピクチャーの匂いを濃厚に漂わせながら進行します。

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犯罪、陰謀、暴力いずれとも関わりのない素人というか堅気の人が思わぬ事情からそれらと関わることになるというのが巻き込まれ型の基本で、ここでは家計のやりくりに悩むケイティ(カミラ・メンデス)が裕福な一人住まいの高齢男性レナード(エリオット・グールド)の介護に従事するうち、彼の死に遭い、しかも彼女に邸宅を含む全財産を譲るという遺言が存在するというのです。

そこで現れたのが邸宅売却を強要する自称不動産屋、ケイティをレナードのもとに派遣した派遣会社の役員、老人の死に100%納得はしていない刑事、そうして葬儀には遺言書を携えた弁護士がやって来ます。お金持ちの男の家には犯罪がらみの秘密がありそうです。

じつはお金持ちの老人レナードはケイティの窮状を知り、彼女の夫(婚約者かな?)で大学院生のアダム(ジェシー・T・アッシャー)を庭師として雇ってあげていたのですが、彼女に大金が遺されたことから彼の行動も怪しくなります。相続税を逃れる方法を探るなど完全に彼女のカネはおれのカネ状態で、ケイティはこれまで思ってもみなかったアダムの強欲さや抜け目なさを知ることとなります。苦々しく思っていたそんな折、アダムにレナード殺害の疑惑が持ち上がります。

逃れの道を探そうとするケイティ、しかしその道は事態の解決なしに開くことはありません。巻き込まれ型の方程式をふまえながら、お宝争奪戦のテイストを加えた、煩わしさ皆無のお手軽な娯楽作品です。