日本が南アに勝った!

目が覚めていつもとおなじようにスマホでニュースを見ると、18日にイングランドで開幕したラグビーワールドカップで昨19日日本が南アに勝ったとあった!号外を出すに価する出来事だ。深夜のライブ中継は苦手なので朝イチで見るようにしていて、贅沢言ってはきりがないが、これで結果を知ってのテレビ観戦になったのが悔やまれた。

日本の南アに対する勝利は1968年6月3日、日本がオールブラックス・ジュニアに23対19で歴史的勝利をおさめた以上の衝撃を世界のラグビー界にもたらすだろう。そのときジャパンを率いた名将大西鐡之佑は「戦法には絶対はない。だが絶対を信じないチームは敗北する」と語った。
不明を恥じるけれど、大西先生(大学で受講したのでここは先生で行きます)の言った「絶対」を、わたしは今回の南アフリカ戦について信じていなかった。JSPORTS解説者の村上晃一さんによると、ワールドカップ史上最高の勝率を誇るチームと最低勝率のチームとの対戦である。まずは、初戦のスプリングボクスとの試合で思いっきり善戦して、これを弾みにプール戦で2位に喰い込みベスト8進出を願っていた。
歴史的大金星のニュースで、大西先生の言葉を思い出して、これではファンとしての見識が問われると反省した。先生の「絶対」は「芯」であり、「芯」は「心」に通じる。一人のファンとして「絶対」を信じて今後の観戦に臨みたい。
これまでいちばん感動したラグビーの試合は1972年1月15日の早稲田対三菱自工京都の日本選手権で、このときはわたしも秩父宮ラグビー場の観客のひとりだった。ノーサイド直前、三菱自工ボールのスクラムで早稲田がボールを奪い、パスでつないでキックしたボールが跳ねて、走って来たウイングの選手の胸にスポッと収まりトライ、これで早稲田が逆転した。
雨がときにみぞれとなる泥濘のピッチを、そのころはまだ皮革製の楕円のボールが水を含んでいるのにもかかわらず上手い具合に跳ねて早稲田の選手の胸に収まったシーンをジャーナリズムは奇跡の勝利と報じたが、早稲田のスクラムハーフ宿沢広朗選手は、奇跡ではない、練習を重ねた計算されたトライだと反論した。
この感動の頂点にきょう日本対南アの試合が並んだ。これまでのワールドカップで日本が挙げた唯一の白星は1991年のジンバブエ戦で、そのときの監督は宿沢広朗氏だった。2006年55歳で登山中に心臓マヒで急逝した同氏も彼岸で喜んでおられるにちがいない。