モロッコ皮(モロッコの旅 其ノ二十三)


「製革の一種。山羊皮を原料とし、植物性のタンニン剤で鞣(なめ)し、染色後表面に細かい『しぼ』を出した薄い革である。製本用または家具上張用とする装飾革である。もとモロッコから欧州に輸入したのでこの名がある」(三省堂百科辞書編集部編『婦人家庭百科事典』より)
『婦人家庭百科事典』は一九三七年(昭和十二年)に刊行された小型百科事典で、そのころモロッコはフランス領(一部スペイン領)だったから国家としてのモロッコは立項されていない。それでも十四世紀以来といわれる伝統産業としてのモロッコ皮については上のように説明がある。
写真はフェズにある皮革製品の製造兼販売店の上から眺めた皮の染色用の桶。屋上には皮が干されてあり、天地とも皮革一色である。
入る前に店の方が消臭用にミントの葉を手渡してくれた。それだけ臭いはきつい。