「ゼロ・グラビティ」

テレビドラマ「ER緊急救命室」の第二シーズンの一話を観たところ、めずらしくアクションふうな一篇で、大雨のなか車がパンクし、立ち往生しているジョージ・クルーニーのダグラス・ロス医師のところへ、友達が上水道で流され堰き止めの鉄条網に足を挟まれ死にそうになっていると一人の子供が駆けつけ、必死の救命活動がはじまる。これをジャーナリズムが大々的に報道して、病院をクビになりかけていたロス先生だったが一転して引き止められる。
翌日「ゼロ・グラビティ」へ行ったところ、ここでもG.クルーニー氏はベテラン宇宙飛行士コワルスキーとしてスペースシャトルのメディカル・エンジニアであるストーン博士(サンドラ・ブロック)と地上六十万メートルの宇宙空間で一本のロープでつながれて、ともにサバイバル活動に奮闘しているのだった。

破壊された人工衛星の破片が別の衛星に衝突して新たな破片が生じ、それがデータ通信システムの故障の回復作業をしていた二人のいる方向に猛烈な勢いで迫っている。ヒューストンからは作業中止と地球への帰還命令が届くが、スペースシャトルは大破し、二人は宇宙空間に放り出されてしまう。
地上との交信はとだえ極限の孤絶に陥った宇宙服の二人は「ゼロ・グラビティ」のなか衛星の破片を避け、帰還をめざす。「宇宙なんか大嫌いよ」と浮遊しながらストーン博士は叫ぶ。
宇宙を体感させる映像におどろき、見とれながら二人の命運にハラハラドキドキ。最先端の映像技術を用いた宇宙サスペンスだ。
前夜のテレビで出ずっぱりだったジョージ・クルーニーだが、ここでは控えめで、代わってサンドラ・ブロックが終始一貫のお勤めだ。宇宙服を脱いだスパッツ姿がスポーツ選手のように見えたのは無重力状態のなかを飛び跳ねていたからか。

それにしても「ゼロ・グラビティ」のIMAX3D(通常の3Dのメカニズムとの違いはよくわからないけれど)による宇宙の映像は凄いぞ。小生、破壊された人工衛星の破片が飛んで来て二回目をつぶってしまいました。映画の初期、観客は走って来る列車に身をかわしたそうだけど、あの感覚が現代に蘇った!
(十二月十七日丸の内ルーブル