雑司ヶ谷鬼子母神

池袋から雑司ヶ谷へ行くとちゅうに往来座という古書店があり、過日はここで小林信彦『世界の喜劇人』(新潮文庫)と『野坂昭如エッセイ・コレクション』全三冊(ちくま文庫)を千三百円で買った。
とくに前者は気になる絶版文庫だったのでとてもうれしかった。奥付には昭和五十八年十一月印刷発行とある。そのころ、お気に入りの本だけどハードカバーで持っているから文庫本はいいかと思っているうちに早く絶版になった。そうなると悔しさがつのる。気になる絶版文庫の所以である。
鬼子母神にお詣りをして境内のベンチに腰かけてしばし本を眺めていると時間がゆるやかに流れてとてもよい気持になる。
ひと休みのあと目白通りへ出て学習院大学から目白駅へ向かった。時間にゆとりがあるときは日本女子大から江戸川橋方面を散歩する。どちらに行くか迷うのもまた町歩きのたのしみだ。