一八三一年に刊行されたヴィクトル・ユーゴー『ノートルダム・ド・パリ』はその後、何度か映画化され、ミュージカルとなり、バレエ作品をも生んだ。
わたしがノートルダム大聖堂を知ったのは「ノートルダムのせむし男」という映画だった。中学生のときテレビで観た記憶があるが定かではない。年代的には一九五六年版のカジモドにアンソニー・クイン、エスメラルダにジーナ・ロロブリジーダが扮した作品と思われるが、これはカラー作品で、わたしが観たのはモノクロだったような、というわけで往時茫々というほかない。
ある時期から「ノートルダムのせむし男」は「ノートルダム・ド・パリ」とされた。昔の邦題ではテレビ放映はむつかしい。若い人はそれでよいだろうが、困ったことにわたしは「ノートルダム・ド・パリ」と聞くと、かつての題名に一度変換してしまう。それほど昔の題名の印象が強い。