旧ユーゴスラビアの「建国の父」チトー大統領(1892-1980)は同国の首都だったベオグラードに眠る。写真は墓所のある記念館で「花の家」と呼ばれている。敷地はもとチトーの居宅で、館の名は彼が花や植物が好きでガラス天井の温室を作り、観葉植物を栽培していたことに由来する。
現代史上の二人の悪魔、ヒトラーとスターリンに抵抗した人々はたいへんなものだと思う。当然、東欧の社会主義国でスターリニズムならびにソ連型社会主義に対峙したハンガリーのナジ・イムレ、チェコスロバキアのアレクサンデル・ドゥプチェク、そしてユーゴのヨシップ・ブロズ・チトーには判官贔屓の単純さを承知しながらも好い印象をもつ。
ナジはソ連により処刑され、ドゥプチェクはモスクワに連行されたあと辞職に追い込まれたがチトーはソ連と対抗しながら大統領職を全うした。その威信と政治力はたいしたものだ。