ベオグラード散策(2016晩秋のバルカン 其ノ十三)


一九八0年チトー大統領が歿した直後からユーゴスラビア各地では不満が噴出し、連邦を構成するいくつかの国や民族から独立の声が高まり、九十年代には内戦状態に陥った。そして連邦国家を構成していたスロベニアクロアチアボスニア・ヘルツェゴビナセルビアモンテネグロマケドニアの六つの共和国は独立国家となった。
いま各国には歴史遺産や美しい風景を求めて多くの国から観光客がやって来ている。写真はセルビアの首都ベオグラード。街並は美しく二十年ほどまえ内戦状態にあったとは想像しがたい。しかし底流、深層には辛い過去が潜んでおり、民族、宗教をめぐる対立感情はいまなお強い。パッケージツアーからは窺いにくいこれらの事情を知るためには両国民の交流とともに文学や映画の積極的な紹介が必要だ。
交流といえば現地では英語のガイドさんばかりで日本語のガイドさんにお目にかからなかった。日本語のガイドはいても極めて限られているのだろう。こちらも友好、交流の課題である。