2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

十数年ぶりのスプリングボクス

「春菊や今豆腐屋の声す也」(子規) 夏井いつきさんは『子規365日』でこの句に寄せて、子供の頃に硬貨と凹んだボールを渡され近所の豆腐屋へおつかいに行っていたと思い出を語っている。一九五七年生まれだから東京オリンピック前後の頃だろう。一九五0年…

山車と神輿

自宅が近い根津神社はこの時期、例大祭で賑わう。山王祭、神田祭とともに「江戸三大祭り」のひとつで、ことしは九月二十一、二十二の両日、町会では神輿を繰り出し、境内にはたくさんの露店が並んだ。 神社のホームページには、六代将軍家宣は幕制をもって当…

アクセルとブレーキ

ことし四月、東京、池袋で旧通産省工業技術院の元院長、八十七歳が運転する乗用車が暴走し、母子が死亡、十人が負傷した痛ましい事故があった。車を分析した結果ではアクセルを踏み込んだ形跡はあったがブレーキを踏んだ跡は残っていなかった。アクセルをブ…

日産動物園

日産自動車の西川広人社長(九月十六日付で辞任)は副社長だった二0一三年五月に株価があらかじめ決められた水準を超えたときに権利行使できる「ストック・アプリシエーション権(SAR)」という権利の行使日をズルして一週間遅らせ、およそ四七00万円多く…

難聴の記

朝、ジョギングをしたあとシャワーを浴びていると、右耳に膜が張ったような感じがして水が入ったのだろうと出そうとしたが、水のせいではないらしい。綿棒で水分と耳垢を取っても症状は消えなかった。 テレビの前で右耳を、ついで左耳をふさいだところ明らか…

「存在のない子供たち」

映画を評価するにあたって、現実をどれほどにとらえているかを重要な物差しとするならば「存在のない子供たち」は最高点を与えられてしかるべきだろう。その昔、「靴みがき」や「自転車泥棒」などイタリアのネオリアリズモ作品をみた人々のおどろきや感動が…