エル・シドの像(西班牙と葡萄牙 其ノ四十一)


エル・シド(本名ロドリーゴ・ディアス・デ・バビール)は十一世紀後半のレコンキスタで活躍したカスティーリヤ王国の貴族で、スペイン語読みに近い表記ではエル・シッドとなる。
カスティーリヤ王国アルフォンソ六世治世下にあってエル・シドは二回もしくは三回追放の憂き目に遭っている。イスラム勢力に押されているアルフォンソの窮地を救ったにもかかわらず「援軍にくるのが遅い」という理由で追放されたりしているからよほど国王とは折り合いが悪かったのか。一説にエル・シドがつぎつぎと武勲を立てることから民心が彼に移るのを警戒しての措置だったと言われている。
いずれにせよ立派な功績を挙げたにもかかわらず国王との距離の取り方が上手くなかったのだろう。そのぶん民衆は同情したとすれば、エル・シドはスペインの源義経としてよいのかもしれない。その像はスペイン民衆の判官贔屓が生んだものか。