遺跡の復元(土耳古の旅 其ノ九)

写真はトロイ遺跡の一角。映画をめぐるエッセイ『人びとのかたち』で塩野七生さんは「私が知りたいのは遺跡ではない。遺跡ならば自分の眼で見ることができる。知りたいのは、遺跡が復元された状態なのだ。映画作品にも考証がゆきとどいているものがあるから、歴史を書くうえでも役に立つことが多い」と述べて、ハリウッド製歴史スペクタクル映画(ただし、かつてのハリウッドと限定している)の意義を強調している。
この本は1995年に刊行されていて、当時の著者の見たところでは、コンピューター・グラフィックスによる遺跡復元方法は貧弱きわまりなく、かつてのハリウッド作品のほうが考証の正確さをチェックしながら観るかぎり、ソフト、ハードともずっと「マシ」だとのことだ。そうした観点から「ベンハー」「クオ・ヴァディス」「クレオパトラ」「ローマ帝国の滅亡」「スパルタカス」等々をあらためて観直してみよう。大忙しだ。