アヤソフィア(土耳古の旅 其ノ三)

イスタンブールはアジアとヨーロッパとが接する場所だ。双方の地は橋で結ばれ、また地下鉄も通じている。地理上の接点は文化が出会い、融合し、角逐する場である。ブルーモスクと対のかたちで建つアヤソフィアはそれを象徴している。
東ローマ帝国時代にはギリシア正教会の大聖堂だったのがラテン帝国支配下の1204年から1261年にかけてはローマ・カトリックの大聖堂とされた。さらにその歴史と威容からオスマン帝国の時代においては最高の格式を誇るモスクとして利用された。
権力の所在にともない建物は性格を異にしてきた。ここにはその歴史が詰まっている。古代ギリシアの植民都市に発するビザンチンからコンスタンティノープルへ、そうしてイスタンブールへ。都市の名称の変遷とアヤソフィアの歴史は重なる。