セビリア(西班牙と葡萄牙 其ノ三十六)


グアダルキビール川沿いに位置するセビリアへは大西洋から船舶が遡航できる。この条件に着目したのがジェノヴァの商人たちで、ここを拠点とするかれらの積極的な商業活動が中世より港湾都市として栄えさせた。歴史的に培われた経済力の象徴が威容を誇る大聖堂で、ローマのサン・ピエトロ大聖堂、ロンドンのセント・ポール大聖堂に次ぐ世界第三位の大きさと紹介されていた。
レコンキスタ以前、この地には巨大なモスクがあり、そのあとに建てられたのが大聖堂で、ここもイスラム世界とキリスト教世界が深く交錯する場所だった。
大聖堂に隣接する高さ九十八メートルのヒラルダの塔は一一九八年に建てられたときはモスクのミナレット(尖塔)で、その後、キリスト教徒の手でアラベスク模様の壁面はそのままに、ルネサンス様式のバルコニーとブロンズの女神像が付け加えられた。