2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「鰯雲」と「鰊雲」

六月三日の毎日新聞が、受動喫煙対策強化を目的とするいわゆる「原則禁煙法案」の提出が今国会では見送られると報じていた。厚生労働省と自民党の方針に隔たりがあり、会期が延長されたとしても法案提出すら極めて厳しい状況にあるという。なんとかという厚…

「白貂を抱く貴婦人」〜「シンドラーのリスト」に思う(其ノ四)

レオナルド・ダ・ヴィンチの作品のうち一人の女性を描いた肖像画は「モナ・リザ」「ミラノの貴婦人の肖像」「シネーヴラ・デ・ベンチの肖像」「白貂を抱く貴婦人」の四点が現存していて、なかで「白貂を抱く貴婦人」はクラクフの美術館に展示されている。モ…

生き延びるために〜「シンドラーのリスト」に思う(其ノ三)

クラクフを訪れるのに先立ちヴィエリチカ岩塩坑に寄った。世界最古の歴史をもつ塩の採掘場であり、産出される岩塩は国家の重要な収入源のひとつとなっており、いまも生産が続けられている。坑道の長さはおよそ300km、最深部は327mに達する巨大採鉱場だ。 創…

「一人の人間を救う者は、全世界を救う」〜「シンドラーのリスト」に思う(其ノ二)

ガラス越しに撮った写真だからわかりにくいが、よく見ると大量のメガネであるのがおわかりいただけるだろう。アウシュビッツ収容所で撮った写真で、ナチスがユダヤ人から略奪したものだ。 トマス・キニーリー『シンドラーズ・リスト』に「ヨーロッパ中のユダ…

クラクフで〜「シンドラーのリスト」に思う(其ノ一)

オスカー・シンドラーの工場があったクラクフはポーランドの産業、文化の主要な中心であり、十七世紀はじめワルシャワに遷都するまではポーランド王国の首都だった。 ことしの一月にポーランドを旅したとき、現地のガイドさんが、美しい古都の魅力にナチスは…

『救出への道 シンドラーのリスト・真実の歴史』

ドイツ人実業家オスカー・シンドラーは強制収容所にいた千二百人を数えるユダヤ人を自身の工場に雇用することでナチスの虐殺から救った人物として知られる。 一九四五年五月その努力がドイツの無条件降伏決定によりようやく実を結んだときシンドラーは囚人た…